「く、くそっ!!」

 部下の証言だけではなく、これに関してはご丁寧にリストの直筆で部下への指示書が出てきた。
 さらに、自分陣営につけば、侵略後に新たな領地を授けると第一王子と懇意にする貴族たちに手紙まで。
 まあ、そのうちの数人は第一王子を通してミストラル国王に密告していたのだが……。

「な……じゃあ、あいつら」
「ええ、あなたにつくどころか、国王に伝わっているでしょうね」

 段々青ざめていくリストの顔を見て、レオンハルトは冷めた笑顔を向ける。
 彼にぐっと近寄ると、リストの顔面に顔を寄せて囁いた。

「ふ、そのくらいで青ざめてもらっては困りますよ。まだ終わるわけないでしょう? あなたが償うべき罪は山ほどありますよ」

 がくがくと震えだしたリストに対して容赦なく咎め続ける。

「我が国にいる犯罪者集団、シュヴェール騎士団をそそのかしてここ数ヵ月内乱を扇動していたのはあなたですね」
「……なっ! あればローマンが……っ!!!」
「ローマン、そうですね。彼がリーダーでした」

 そこまで言うと船の上にいる深く布を被った男にレオンハルトは呼びかけた。