コルネリアの力によって呪いが解けたレオンハルトは、テレーゼとミハエルに何度も何度も身体を凝視されることになった。
 本当に呪いは消えたのか、とか、コルネリアは無事なのか、とか。
 それはもうしつこく二人に迫られ、二人とも戸惑いながらも心配してくれることを嬉しく思い、目を合わせて笑った。

 真っ先にクリスティーナに報告に行きたいと思ったが、間もなく隣国へ嫁ぐということで婚礼の準備で忙しかった。
 ゆえに、まずはここに、といった様子でコルネリアは足を運んだ──

「リュディーさんっ!」
「ずいぶん今日は表情が明るいですね」
「はいっ!」

 彼女はまわりに客が誰もいないかを確認すると、カウンターにいるリュディーのもとに駆け寄る。

「呪いは解けました」
「へ……?」
「レオンハルト様の呪い、無事に解けたんです」

 彼にとって意外な報告だったようで、入れていたコーヒーがカップから溢れている。
 コルネリアが彼の名を呼んで意識を取り戻させるまで、コーヒーは流れてゆき、そのままカウンターを汚していく。