それと同時に向こうのほうに大きく禍々しい黒い渦が見えてきた。

(あれが、呪い……?)

 ゆっくりと近づくと、その黒い渦がコルネリアを包み込んで苦しめる。

「んぐっ!!!」
「がっ!!!」

 そうしてコルネリアの身体が苦しむと同時に、レオンハルトも同じように苦しむ。
 彼女の少し離れた先で同じように渦に蝕まれる人影が見えた。

(レオンハルト様っ!!)

 もがき苦しみ、首元を押さえて息苦しそうにする彼に手を伸ばす。

(お願いっ! 届いてっ!!!!!)

 コルネリアの腕はもう少しのところで届かずに、渦が鋭く変化したナイフに切りつけられる。

(う……!)

 そのナイフは腕に、足に、そして頬にと段々コルネリアの心臓へと届こうとしている。
 それでも彼女は腕を伸ばし続けた。

(呪いになんて殺させないっ!)

 その叫びが光の刃となって渦を打ち砕いていく。

(もう手を離さないっ!!)

 レオンハルトの首元を締めていた闇が消し飛ぶ。

(誰も死なせはしないっ! 大事な人を守るって、決めたからっ!!!)