「シスター長……」

 コルネリアは椅子から立ち上がり、シスター長に深く頭を下げた。
 顔をあげた彼女の表情はどこか晴れやかで、そして力強さを宿らせた目で前を見ている。

「ありがとうございます!」
「ええ、いつでも迷った時はいらっしゃい。いつでもあなたの味方ですから」
「はい……!」

 コルネリアはもう一度頭を下げて礼拝堂の出口に向かおうとするも、少し立ち止まって振り返る。

「シスター長、私は今幸せです」
「──っ! そう、よかったわ」

 そう言って彼女は礼拝堂を後にする。


「覚えていたのね、私の言った言葉」

 シスター長は笑って再び祈りを捧げた──



『コルネリア』
『なあに?』
『いつか、あなたは幸せになってちょうだいね』
『ん? しあわせ?』
『そう、あたたかくてあなたのことを大事に想ってくれる人と共に生きるの』
『? うん、わかった! こるねりあ、「しあわせ」になるね』