レオンハルトはさらに強く抱きしめ、そして彼女の淡いピンク色の髪ごと強く引き寄せる。

「コルネリアっ! 君は弱くていい。それでいい。クラリッサのようにならないでほしい。比べないでほしい。確かにあの日はあった。楽しい日々、そして苦しい日々はあった。だけどっ!! 僕はもうそれを乗り越えたい! 君と一緒に未来を生きたいんだっ!!」
「レオンハルト、さま……」

 コルネリアの周りを覆い、レオンハルトを傷つけていた風が彼の言葉によって少し弱まる。
 赤い瞳から透明な雫が一つ、零れ落ちた──

 レオンハルトは傷だらけの手でコルネリアの両頬を捕まえると、柔らかな微笑みを向ける。

「君を離したくはない。もう離さないと決めたんだ。コルネリアだから愛した。──愛せた。僕と、一緒にいてくれませんか?」

 サファイアブルーの瞳は優しくも強い意思を持って彼女を見つめる。

(私は、私は私でいいの……?)

 コルネリアはその瞳をアメジストの光に戻して彼に問うた。

「私は、私はあなたを愛していいのですか? レオンハルト様」
「ああ、もう私に失わせないでくれ。これ以上。もう……」