ああ、彼もまたこの事実を抱えて苦しんでいたのだと、コルネリアは思う。

「ありがとうございます。苦しい思いをさせました」
「いえ、このあとどうするかはコルネリア様の自由です。この事実を知ってどうするかは」
「はい、もう私の中では決まっています」
「そうですか。私はずっとここにいます。いつでも来てください」
「ええ、またカフェオレ飲みに来ます」
「お待ちしております」


 カフェを出たコルネリアの行く先はもう決まっていた。
 もうすっかり暗くなった夜道を歩き、馬車に乗り込んだ。

(聞かなきゃいけない、私は。レオンハルト様に……)


 馬車はヴァイス邸に着き、コルネリアはその足でレオンハルトの執務室に向かった。
 扉をノックすると、中から彼の了承の声が聞こえる。

「失礼します」
「珍しいね、コルネリアが僕より遅くなるなんて」
「レオンハルト様」

 彼女の目を見てなにやらただならぬ雰囲気を感じ、彼も真剣な表情へと変わる。

「どうしたの?」
「クラリッサさんのことを聞きました」
「──っ!!」