雪の結晶を思わせるような、そんな繊細で美しい模様に思わず二人とも見惚れる。

「ありがとう、コルネリア。それから、みんな」

 使用人たちは皆笑顔で頷いたりするものや、遠慮がちに首を振ったりするものもいる。
 そしてテレーゼは二人に向かって、今日はよかったら二人きりで食事を楽しんでください、と言い残すと、皆ダイニングから去って行った。


「二人きり、というのは初めてかもしれないね」
「はい、少し緊張します」
「僕もだよ、でも、特別な誕生日になった。ありがとう」
「私は何も……、皆さんのおかげです」

 すでにフルコース並べられた食事をゆっくりと楽しみながら、二人は先程もらったグラスでドリンクを飲む。
 まだ酒が飲めないコルネリアに合わせて、レオンハルトもノンアルコールカクテルを楽しんだ。

「いつか、このグラスでお酒を飲んでみたいです」
「ああ、僕は酒が好きだから、ぜひ一緒に飲みたいよ」

 ゆっくり晩酌を楽しむ様子を想像してコルネリアは嬉しくなる。
 そして同時に突然あの童話の本で見た言葉を思い出して、心臓が飛び跳ねる。

「どうかした?」
「いえ、その……」