「アンリ、手紙でもらってた報告書とあと証拠の文書、証言書、すべてあとで引き渡してもらえるわね?」
「もちろんでございます。すぐに」

 ジュリアはゼシフィードにちらりと目をやると、今度は振り向いて聴衆に宣言する。

「皆、国王が遠征中、そして私も会談でしばらく国をあけていたことで世話をかけた。それから国営維持について感謝する。だが、この期間に行われた不正の全てを取り締まり、そしてここにいるゼシフィードより王位継承権を剥奪して国外追放とする」
「なっ! 母上!」
「もうお前の母上ではない。口を慎め!」

 真っ赤な口紅が目立つジュリアは厳しい目と声色で叫ぶ。
 ゼシフィードはその場にへたり込むと、涙も出ぬままに衛兵に連行されていった──