知ることが、自分の役割に辛さを増すとは思えない。そんな時に出会ったスミラギは「ささいな好奇心があれば、残さず私に尋ねなさい」と、私情に左右されない良き教育係だった。

 でもスミラギは、トム・サリファンと違って『かなりのスパルタ教育』だった。テストで答えを間違えると、平気な顔でサードを木に宙釣りに括りつけ、平気な顔で講義を続ける恐ろしい神経を持った男である。

「…………」

 嫌なことを思い出したな、とサードは乾いた笑みを浮かべ思う。

 いくら英才教育を重ねた優秀な実験体とはいえ、たった半年で、この学園の主席レベルの知識を叩き込まれたのは辛い記憶である。

 口直しにケーキを食べるべく、つい止めてしまっていたフォークを動かした。スミラギの鬼畜ぶりを忘れさせるほど、苺のショートケーキは甘くて美味しい。

 そこでふと、多くの視線を集めていることに気付いた。

 サードは、訝しげに辺りを見回した。思わず近くにいたユーリスに「俺は珍獣じゃねぇんだぞ」と告げてやったら、彼が「うーんなんというか」と首を傾げてくる。