その後、一ヶ月程入院する事になった「私」。
何千回、この天井を見てきたのだろうか。
血液検査などの検査で忙しい「私」に「先生」がこう言った。
「君に会いたい人がいるらしい。」
言われるがままに待っていると、一人の男の子が入ってきた。
美しい彼の茶色の髪の毛。吸い込まれるほどに透き通った深い青の目。
彼が病室に入ってから一瞬にして心を奪われた。
「初めまして。僕は、君が通っていた学校に新しく転校してきた田中翔。君のあの作品に惹かれてここに来た。」
『あの作品…?』
「あ、そっか君事故で記憶喪失になったんだったね。」
誰かから教えて貰ったのか。
事故で記憶喪失になった事を知っていて、話が省いた。
『あ、まあ…』
「あの作品はね、僕の人生を一瞬で変えてくれたんだ。これ。」
そう言って、翔くんがスマホで見せてくれたのは、ある一枚の海辺の夕暮れの絵。
これを…私が描いた?
「本当にありがとう。」
『い、いえ…全然…』