私たちはまた友達になった。
正直言うと、結芽が勘違いをしなければ
私は今頃、友達が沢山いて、写真を沢山撮ってたかもしれない。
けれど、過去は変えられない。
孤独だった生活は辛かったけれど、いい出会いもあった。
だから、全てひっくるめて、良かったことにした。

***

「桜雪、帰るぞ」
「うん!」

春佑に呼ばれて、急いでスクバを手に取って春佑の元に急ぐ。
春佑の傍に行くとなんだか少し不機嫌そうな顔をしていた。

「なんでそんな不機嫌なの?」
「いや、その…桜雪が他の奴と一緒にいたから…しかも知らない奴と」
「えっ」

まさかの春佑は私が結芽と一緒にいたことが嫌だったみたいで、不機嫌になっていた。

「なんだよ、えっ、って」
「いや、春佑も嫉妬するんだなーって思って」
「そりゃするだろ。男だし、俺彼氏だし。高校生活最後の日に、その、彼女取られたら嫉妬するだろ…?」

春佑は初めて私を彼女といってくれた。
春佑は今まで読んでくれなかったから嬉しかった。
彼女といってくれたことに対して、私は本当に、
春佑と付き合ってるんだ、ということが分かって
顔に熱があるのを感じる。

「春佑」
「ん?」
「大好き」
「なんだよ急に」
「思ったことを言っただけ!」
「そうか。俺はお前よりもっと愛してる」
「っ…春佑にバカッ」
「なんでだよ」

不意にそんなこと言われると心臓が飛び出しそうになる。
そんな心臓を押えて平常心を取り戻す。

「今日で高校生活終わりだね」
「そうだな」
「大学、同じところ行けなくてごめん」
「なんで謝んだよ。しょうがないことだろ」
「毎日のように会ってたのに、会えなくなるなんてなんだから信じられない…」
「そうだな…」

ずっと会えないわけじゃない。そんなことは無いことは
十分にわかっているはずだけど、毎日会えないとなんだか、悲しくなってしまう。

「桜雪」
「なぁに?」
「手、だして」
「手?」

そう言って私は右手を出した。

「あー、左手。左手出して」
「は、はい」

私はなんでだろう?と思いながら左手を出す。

「目瞑って」
「え、なんで」
「いいから、目瞑れ」

言われるがままにすると、なんやら冷たいものが
私の手に触れている。

「いいよ、目開けて」
「うわぁぁぁぁ…」

私に左手に薬指には綺麗な指輪がはめられている

「こんな良さそうなもの…」
「卒業祝いとつきあった記念。なんにもしてなかったろ」
「確かに…」
「これ、ペアリング。俺と」

春佑の左手の薬指を見ると同じ指輪がはめられていた。

「いつも貰ってばっかでごめんね…」
「謝んな。それは桜雪は俺のだって言う印な」
「春佑…」

春佑のしてくることはいつも予想のできないことばかり。
いつもドキドキさせられている。
けど、それを超えるほど幸せをくれる。
本当に毎日会えないのが本当に寂しい。

「桜雪」
「なぁに?」
「毎日会えないかもしれない。それでも俺はずっとそばにいる。お前の薬指にずっといる。だからあんま落ち込むな」
「春佑…」
「俺も桜雪がそばにいると思って頑張るから」
「そう言われると、私も頑張れる気がする!ほんとに指輪ありがとう」
「あぁ。喜んでくれてよかった」

私がどんなことを思っているかもわかってしまう
春佑はほんとにすごいと思う。
私の彼氏にもったいくらい。

「桜雪、これからも隣にいてくれよ」
「もちろん」

私たちはそっと、唇を重ねた。