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「香恋はさ、どこの大学に行くの?」
体育祭や文化祭と毎年恒例の大きな行事が終わり、大学受験がほんわかと近づいて来たのを感じる2学期の終わり。学級委員会を終え、帰る支度をしていると横にいる誠がそんなことを聞いてきた。
彼の手には進路希望調査票が握られていた。3学期の文理選択の際に必要となってくるため今学期中に提出しなければならないのだ。私は両親から県内トップの大学の理系学部を選択するよう言われていたため、その旨を記述していた。
「〇〇大学の△△学部」
「うわぁ〜、めちゃくちゃ頭いい大学じゃん。じゃあ、俺も第一志望はそこにしよ!」
「そんな簡単に決めちゃっていいの? 大事な進路だよ」
「いいのいいの。特に行きたい大学はないんだけどさ、香恋と一緒にいたいって思いはあるから」
「別に大学が同じじゃなくても、一緒にいられるでしょ」
「でも、同じ大学だったらもっと一緒にいられるじゃん」
そう言われると否定はできなかった。
確かに誠は何でも器用にこなす。それは勉学も例外ではない。テストは一夜漬けと言いつつもクラス3位以内には入っている。進学校でその成績ならば難関大の合格も夢ではないだろう。
私としても誠が同じ大学に来てくれることは嫌ではなかった。むしろ嬉しいくらいだった。誠と同じ志を持てるのなら、きっと辛い受験勉強も乗り越えていけるだろうと思った。
「私は別にいいけど」
「ホント! なら俺も香恋と一緒のところにしよ!」
誠は意気揚々と進路希望調査票に私の言った大学と学部を書いていく。先ほどまでの悩みは嘘かのようにスラスラと記入していった。第2第3希望は白紙のまま。それが「私と同じ道以外あり得ない」と言っているかのようで体が熱くなった。誠の意図しない天然なところが私の心をかき乱す。
こうして私たちは共に同じ道を歩んでいくことになった。
そして、誠だけが先を歩んでいき、私だけが取り残されてしまったのだ。
「香恋はさ、どこの大学に行くの?」
体育祭や文化祭と毎年恒例の大きな行事が終わり、大学受験がほんわかと近づいて来たのを感じる2学期の終わり。学級委員会を終え、帰る支度をしていると横にいる誠がそんなことを聞いてきた。
彼の手には進路希望調査票が握られていた。3学期の文理選択の際に必要となってくるため今学期中に提出しなければならないのだ。私は両親から県内トップの大学の理系学部を選択するよう言われていたため、その旨を記述していた。
「〇〇大学の△△学部」
「うわぁ〜、めちゃくちゃ頭いい大学じゃん。じゃあ、俺も第一志望はそこにしよ!」
「そんな簡単に決めちゃっていいの? 大事な進路だよ」
「いいのいいの。特に行きたい大学はないんだけどさ、香恋と一緒にいたいって思いはあるから」
「別に大学が同じじゃなくても、一緒にいられるでしょ」
「でも、同じ大学だったらもっと一緒にいられるじゃん」
そう言われると否定はできなかった。
確かに誠は何でも器用にこなす。それは勉学も例外ではない。テストは一夜漬けと言いつつもクラス3位以内には入っている。進学校でその成績ならば難関大の合格も夢ではないだろう。
私としても誠が同じ大学に来てくれることは嫌ではなかった。むしろ嬉しいくらいだった。誠と同じ志を持てるのなら、きっと辛い受験勉強も乗り越えていけるだろうと思った。
「私は別にいいけど」
「ホント! なら俺も香恋と一緒のところにしよ!」
誠は意気揚々と進路希望調査票に私の言った大学と学部を書いていく。先ほどまでの悩みは嘘かのようにスラスラと記入していった。第2第3希望は白紙のまま。それが「私と同じ道以外あり得ない」と言っているかのようで体が熱くなった。誠の意図しない天然なところが私の心をかき乱す。
こうして私たちは共に同じ道を歩んでいくことになった。
そして、誠だけが先を歩んでいき、私だけが取り残されてしまったのだ。