私はトイレに行った後、なんだか教室に帰りたくなくて、自販機に寄った。
その時、自販機の前にツインテールの女子がいるのが見えた。
…柚月だ。
私はすっと踵を返して引き返そうとした。
…なのに。
「あ、結夏じゃん。なんか買う?ごめん待たせて」
柚月は自販機の前を私に譲った。
「……」
私は気まずくてなにも言わずに自販機の前に立った。
私の指が、宙を彷徨う。
…勢い任せで自販機来ちゃったけど、なにも買うものがない。
私は家から飲み物を持参している。それに…
「ふぅ…何買おう?
…私は今、ダイエット中なのだ。
美由ちゃんに、言われたから。
自分で言うのもなんだが、私はそれほど太っていない。
元々、太りやすい体質ではないし、めっちゃ食べるわけでもない。
まあ、ド・標準ってところ…だと思っていた。
でも。
『結夏ってさあ、ぽっちゃりしてるよね、全体的に』
つい一週間前ほど、美由ちゃんが笑いながら言ってきた。
『え?』
『あ、もしかして気づいてなかった?結夏は自分が可愛いと思ってて草!体重何キロ?』
私は渋々体重を伝えた。
すると、ケラケラ笑い出した。
『へぇ!それってデブじゃん!こぶたさんって呼ぼうかな!』
美由ちゃんは言って、辺りを見回した。
みんなは、『それはあんまりじゃないか』という顔をしていた。
『もうっ、冗談だってばっ!あ、恥ずかしいならダイエットしたら?じゃあ、1ヶ月で3キロ痩せないとこぶたさんね!1キロでも太ったらおおぶたさんね!』
今度は、みんな面白そうにこっちを見ている。
とまあ、クラスでバカにされたくないという理由でダイエットしてるわけだ。
家から持参したお茶は、ネットでダイエットに効くお茶を見つけてそれを飲んでいる。
…大好きなミルクティーも、しばらく飲んでいない。
その時、目の前に並ぶジュースや甘い飲み物が酷く素敵に見えてきた。
ああ、飲みたい…!
私はそんな心の声を無視してお水のボタンを押そうとした、その時。
「あれ、結夏って、甘いやつ好きじゃなかったっけ?」
ぴたりと、手が止まる。
「あ、違った?」
どくり、心臓が鳴る。
「この前さ、ミルクティー買ってたじゃん。お水でいいの?」
私はごくりと唾を飲み込んだ。
「お金ない?私、出そうか?」
「いや、だい、じょ…うぶ…」
私はとうとうクラクラし始めた。
実は今日、朝から何も食べていない。
最近、お菓子を食べすぎちゃって、だから私は朝ごはんを我慢した。
「あ…結夏、もしかして…」
柚月は何かを察した。
美由ちゃんにダイエットしたら、と言われた時、確か柚月はいなかった。
ああ、バレちゃった。
だが、柚月はそれを口には出さなかった。その代わり、私を押し除けて自販機の前に立ち、ミルクティーのボタンを押してお金を入れた。
がしゃん、音がして、ペットボトルのミルクティーが落ちてきた。
「はい、これ」
柚月は私にペットボトルを差し出した。
「だ、ダメだよっ、だめ…」
私は言いかけたが、その直後に柚月が差し出したペットボトルを受け取っていた。
蓋を開ける。
ダメだとわかっているのに、手は言うことを聞いてくれない。
そのまま口に持って行き、私はミルクティーを口に入れた。
途端、私の身体があったかくなった気がした。
私ははっと我に帰った。
でも、後悔はしなかった。
朝からなにも食べていないので、今少しミルクティーを飲んだだけで少し体が楽になった。
私は時計を見て、ホームルームが始まる時間だったので、教室へ走った。
その時、自販機の前にツインテールの女子がいるのが見えた。
…柚月だ。
私はすっと踵を返して引き返そうとした。
…なのに。
「あ、結夏じゃん。なんか買う?ごめん待たせて」
柚月は自販機の前を私に譲った。
「……」
私は気まずくてなにも言わずに自販機の前に立った。
私の指が、宙を彷徨う。
…勢い任せで自販機来ちゃったけど、なにも買うものがない。
私は家から飲み物を持参している。それに…
「ふぅ…何買おう?
…私は今、ダイエット中なのだ。
美由ちゃんに、言われたから。
自分で言うのもなんだが、私はそれほど太っていない。
元々、太りやすい体質ではないし、めっちゃ食べるわけでもない。
まあ、ド・標準ってところ…だと思っていた。
でも。
『結夏ってさあ、ぽっちゃりしてるよね、全体的に』
つい一週間前ほど、美由ちゃんが笑いながら言ってきた。
『え?』
『あ、もしかして気づいてなかった?結夏は自分が可愛いと思ってて草!体重何キロ?』
私は渋々体重を伝えた。
すると、ケラケラ笑い出した。
『へぇ!それってデブじゃん!こぶたさんって呼ぼうかな!』
美由ちゃんは言って、辺りを見回した。
みんなは、『それはあんまりじゃないか』という顔をしていた。
『もうっ、冗談だってばっ!あ、恥ずかしいならダイエットしたら?じゃあ、1ヶ月で3キロ痩せないとこぶたさんね!1キロでも太ったらおおぶたさんね!』
今度は、みんな面白そうにこっちを見ている。
とまあ、クラスでバカにされたくないという理由でダイエットしてるわけだ。
家から持参したお茶は、ネットでダイエットに効くお茶を見つけてそれを飲んでいる。
…大好きなミルクティーも、しばらく飲んでいない。
その時、目の前に並ぶジュースや甘い飲み物が酷く素敵に見えてきた。
ああ、飲みたい…!
私はそんな心の声を無視してお水のボタンを押そうとした、その時。
「あれ、結夏って、甘いやつ好きじゃなかったっけ?」
ぴたりと、手が止まる。
「あ、違った?」
どくり、心臓が鳴る。
「この前さ、ミルクティー買ってたじゃん。お水でいいの?」
私はごくりと唾を飲み込んだ。
「お金ない?私、出そうか?」
「いや、だい、じょ…うぶ…」
私はとうとうクラクラし始めた。
実は今日、朝から何も食べていない。
最近、お菓子を食べすぎちゃって、だから私は朝ごはんを我慢した。
「あ…結夏、もしかして…」
柚月は何かを察した。
美由ちゃんにダイエットしたら、と言われた時、確か柚月はいなかった。
ああ、バレちゃった。
だが、柚月はそれを口には出さなかった。その代わり、私を押し除けて自販機の前に立ち、ミルクティーのボタンを押してお金を入れた。
がしゃん、音がして、ペットボトルのミルクティーが落ちてきた。
「はい、これ」
柚月は私にペットボトルを差し出した。
「だ、ダメだよっ、だめ…」
私は言いかけたが、その直後に柚月が差し出したペットボトルを受け取っていた。
蓋を開ける。
ダメだとわかっているのに、手は言うことを聞いてくれない。
そのまま口に持って行き、私はミルクティーを口に入れた。
途端、私の身体があったかくなった気がした。
私ははっと我に帰った。
でも、後悔はしなかった。
朝からなにも食べていないので、今少しミルクティーを飲んだだけで少し体が楽になった。
私は時計を見て、ホームルームが始まる時間だったので、教室へ走った。