授業中なのに後ろの席でおしゃべりをする男子に、呆れている。正直、ばかだと思う。
 私は視力が悪くて、もうずっと前から席を一番前にしてもらっている。それなのに、周りのことを考えていない男子の声は、意識しないようにすればするほど、私の耳に突き刺さる。
 でも、口に出してないだけ私ってえらいんじゃないか。口に出さなくてもほんとはだめなんだろうけど、それでも高校生にもなって人を馬鹿にする発言をするのはやっぱりおかしいし。
 周りには人を見下すことで生きがいを得ていますみたいなよく分からない女子たちが沢山いる。私が男子にばかって思うのは、別にそういうことじゃなくて。なんというか、うん、ほんとにただ「ばかだなぁ」って。クラスの女子たちがよくやってるマウント云々とかそういうのはどうでもいい。この二文字に優劣の意味を含ませてないし、自分に酔ってもいない。でも私はひねくれているから、人をばかだなって思うことはあるし、人なんてそもそも信頼してないし、友だちなんていない。
 彼女たちには友だちがいる。仲の良さを誇張するように、教室の壁に貼られた「私の目標」コーナーには、五人ほどが固まって「友だちと笑い合い、助け合う青春」と書いていた。
 そんな彼女たちと私のちがいは、人に向ける「ばか」をどこで発信してるか。
 彼女たちは人に聞こえるように話したり、もしくは聞こえない距離でもあからさまに耳を貸し合ったりする。
 私にはそんなことをする倫理観はないし、まず友だちがいない。
 じゃあどこに吐き出してるかって言われたら、