「お、乙葉っ…」
 僕は思わず声を漏らした。
 乙葉の腕の中はあったかくて、安心した。
「ありがとう、おと……っ⁈」
 言いかけた僕の唇は、突然塞がれた。
 ーーーー乙葉が、僕の唇に優しくキスをしたみたいだ。
 僕はあったかい温もりに触れて、もう何も怖く無くなっていた。
 乙葉が唇を離すと、気づけば目の前に果てしなく続く長い階段が現れた。
「行こう、北斗」
 乙葉が、僕の手を握った。
 僕は乙葉の手を握り返して言った。
「幽霊卒業式だね。」
 僕たちは手を繋いで天国への階段を登りはじめた。