そろそろ幽霊卒業します

 無我夢中で飛んできた先は、幼い頃遊んだ公園だった。
 私は古びたブランコに腰を下ろした。
「はぁ…」
 私はぐちゃぐちゃした心をどうにかしたくてて、思いっきりブランコを漕いだ。
「君、何してんの」
 突然、背後から声をかけられた。
「誰?」
 つい、冷たい口調になってしまった。
「僕はホクト。君は?」
「何で知らない人に名前なんて教えなきゃいけないの?」
「人じゃないよ、ただ、知りたいだけ」
「乙葉、だけど」
 何だ、こいつも幽霊か、そう思いながら名乗る。
「君、もしかして失恋したの?」
「何でわかるの?」
「悲しい顔してたからさ。その人のこと、忘れられない?」
 彼はそう言って私の顔を覗き込んできた。
「どうして、そんなこと言わなきゃなの?」
「ただ、知りたいだけ」
 何なんだこいつ。
「そっちは、いつから幽霊になったの?」
 彼は答えた。
「2年前。ずっとこの世にいる」
 2年って、四十九日もとっくに過ぎてる。
「君は、いつから?」
「今日。死んだのは正確にいうと昨日かな?」
 私は答えた。
「ふーん」
 彼は自分から聞いたくせに興味がなさそうに言った。
「何で、この世に残ってるの?」
「兄が心配でね。」
「ふーん」
 私も、興味がなさそうに言った。
「で、君が失恋した相手は誰なんだい?」
 私は胸の中で苦い思いが蘇って、咄嗟に言い返した。
「誰だっていいでしょ!あんたには関係ないんだから!もう、ほっといてよ!」
 私は彼に背中を向けて飛び立った。
「そっか。ただ、知りたかっただけだから」
 憎たらしい台詞が、後ろから聞こえてきた。