君を見ていた。
顔ではなく背中を。
もう、二度と振り向いてはくれないだろう。
私の、大好きだった人。
「いつまでそうしてるの?」
背中から、声がかかった。
「どうだっていいでしょ、あんたには関係ないんだから」
私は冷たく言い放った。
「そっか」
大嫌いな彼は、いつものセリフを繰り返した。
「どーせ、あんたにはわかんないわよ、私の気持ちなんて」
彼は何も答えない。
私は彼に背を向けて歩き出した。
君のことが、大好きだった。
これは私が、生きている時の話。
ゆーくん。
私はあの日、君に出会った。
桜降る、あの庭で。
4月、入学した中学に上手く馴染めず、教室を飛び出した私の目に、一人の男子生徒が飛び込んできた。
君は桜の木の下、一人歌声を響かせていた。
君は心の声を、そのままの美しい心の叫びを轟かせていた。
それは、紛れもなく純粋な愛の歌だった。
思わず、想像してしまった。
君の歌が、私に向けたものだってことを。
そんなことない、わかっていても、思いは溢れてきた。
惹かれた。君の歌に、その美しい声に。
私に気づいた君は、すぐに歌をやめ、立ち去ろうとした。
「待って!」
私は思わず、呼び止めていた。
君は驚いたような顔をして、ゆっくりと私に近づいてきた。
「君の歌、すごくいいね!心の底から叫んでいる感じがよく伝わるよ!」
君は、少し頬を赤くして、「ありがとう」とつぶやいた。
「うん、いいよ。あの、名前は?」
私は勢いに任せて名前を尋ねた。
「夏目祐樹です。あなたは?」
「私は早瀬乙葉。一年生だよ。」
「え?年上かと思った!」
「君の方が年上?年下?」
「同じです!一年生!」
何と祐樹くんは隣のクラスにいるらしい。
「LINE、交換しましょうよ!」
祐樹くんが言った。
「もちろん!」
私たちはLINEを交換した。
もう、この時点で私は君のことを好きになっていたんだと思う。
もっと君と近づきたい。
そう思っていたんだ。
いつかは恋人になりたいと。
ずっと一緒にいたいと。
でも、そんなこと思っちゃいけなかった。
思えば、もっと早く諦めていればよかったのに。
そうすれば、こんなに苦い思い、しなくて済んだのに。
顔ではなく背中を。
もう、二度と振り向いてはくれないだろう。
私の、大好きだった人。
「いつまでそうしてるの?」
背中から、声がかかった。
「どうだっていいでしょ、あんたには関係ないんだから」
私は冷たく言い放った。
「そっか」
大嫌いな彼は、いつものセリフを繰り返した。
「どーせ、あんたにはわかんないわよ、私の気持ちなんて」
彼は何も答えない。
私は彼に背を向けて歩き出した。
君のことが、大好きだった。
これは私が、生きている時の話。
ゆーくん。
私はあの日、君に出会った。
桜降る、あの庭で。
4月、入学した中学に上手く馴染めず、教室を飛び出した私の目に、一人の男子生徒が飛び込んできた。
君は桜の木の下、一人歌声を響かせていた。
君は心の声を、そのままの美しい心の叫びを轟かせていた。
それは、紛れもなく純粋な愛の歌だった。
思わず、想像してしまった。
君の歌が、私に向けたものだってことを。
そんなことない、わかっていても、思いは溢れてきた。
惹かれた。君の歌に、その美しい声に。
私に気づいた君は、すぐに歌をやめ、立ち去ろうとした。
「待って!」
私は思わず、呼び止めていた。
君は驚いたような顔をして、ゆっくりと私に近づいてきた。
「君の歌、すごくいいね!心の底から叫んでいる感じがよく伝わるよ!」
君は、少し頬を赤くして、「ありがとう」とつぶやいた。
「うん、いいよ。あの、名前は?」
私は勢いに任せて名前を尋ねた。
「夏目祐樹です。あなたは?」
「私は早瀬乙葉。一年生だよ。」
「え?年上かと思った!」
「君の方が年上?年下?」
「同じです!一年生!」
何と祐樹くんは隣のクラスにいるらしい。
「LINE、交換しましょうよ!」
祐樹くんが言った。
「もちろん!」
私たちはLINEを交換した。
もう、この時点で私は君のことを好きになっていたんだと思う。
もっと君と近づきたい。
そう思っていたんだ。
いつかは恋人になりたいと。
ずっと一緒にいたいと。
でも、そんなこと思っちゃいけなかった。
思えば、もっと早く諦めていればよかったのに。
そうすれば、こんなに苦い思い、しなくて済んだのに。