何の気遣いにしても、後輩に気を遣わせるなんて、先輩として情けない。
慌てて、微笑んでみせる。
「そ、そうだろうね、多分」
「そうですよ! 以前にも、高校生の子たちに来てもらって、似たような活動したじゃないですか。そのときのこと、覚えてますか?」
「もちろん。あったよね」
「そのときも、高校生の子たちに高級アイス、何故か配ってましたし!」
「うん。覚えてるよ」
「ちょっと怖いですよね、あれは」
「……確かにあれは、少しだけ引いたかも」
「ですよね。って、言いながら、私も貰っちゃったんですけどね」
「そりゃ、それは貰わなきゃ、損だよ」
一応、話には乗ってみたが、本心はそうでもない。
だって。
──私はそういうの貰ったこと、一度も無いんだよなぁ。
改めて、思い返して思う。
別に物が欲しい、とかいう図々しい気持ちではなくて、彼からそういったことをされた試しが無いので、ただただ羨ましいと思ってしまった。
でも、これは仕方の無いこと。
私が、彼より年下ではないから。
私が同い年である限り、彼からはそういうことをしたい対象としてみられることは、一生ないのだから。