「気をつけ、礼」
「「「ありがとうございました」」」
授業が終わった教室はすぐに騒がしくなる。俺はこの騒がしさが誰よりも好きだ。
「なぁ颯人〜!!今の最後の問題ってどゆこと〜?」
………まあ、こういううるささは嫌いだけど。
「勇希、さっきの解説で分かんなかったのか?」
「いや答え読み上げただけじゃん!あんなん解説じゃねーよ!!」
「………チッ、しゃあねーな。」
「よっしゃサンキュ!」
ま、今日ぐらいは付き合ってもいいか。教科書を開いて勇希に見せながら解説を始める。
持田勇希とは幼稚園、いや、もっと前からの付き合いだ。話によると、俺と勇希は誕生日どころか生まれた時間もほぼ同じらしく、2,3分しか差が無かったらしい。
幼稚園から中2の今まで一度もクラスが離れたことがない、いわゆる腐れ縁ってやつだ。
たまに凄くねちっこくなったり、とんでもない嘘を吐いたりするが、そこだけ目を瞑ればノリもよく、明るいのでクラスの人気者だったりする。
一方の俺はボサボサめの黒髪に低い声、メガネといった典型的な陰キャモデル。でも一応友達はいるし(それなりに)、そこまで底辺ではない………と思う。
「………人?颯人?」
「っえ?あっ?どした?」
「どうしたはこっちのセリフだよ。急に黙りこくっちゃってさ。」
「あー悪い。ちょっとボーッとしてた。」
「頼むよ?じゃ、ここ教えてくんね?」
「オッケ。ここはxに4を代入して………」
5分ぐらいした頃。
「はぁ―――。やっと終わった………。」
「マジサンキュ!助かったわ〜。」
「まぁ、俺も復習になったからいいけどな………。」
「へへっ、だな!」
………なんか昔からコイツの笑顔見ると元気出てくんだよな。
「じゃ、俺隣のクラスの奴に用事あっから。」
と言って、さっさと居なくなってしまった勇希を目で追う。でも、教室から出てしまったらもう見えない。そんなとき、俺は猛烈に寂しさに襲われる。
「………次の授業の準備するか。」
そう呟いた俺の声は驚くほど感情が無かった。そんなことを考えていた時。
「あの、颯人くん。」
背後から声がかかった。振り向くと、焦げ茶色のロングヘアが視界に映った。
「あ、宇田さん。」
話しかけて来たのは宇田夏海だった。
「どしたの?」
「あ、いや、委員会の仕事って今日じゃなかったかなって…。」
「あー…………そうだったっけ。」
「うん。よろしくね。」
「ああよろしく。」
それだけ言うと、彼女は自分の席に戻っていった。
正直言うと、俺は彼女のことがあまり好きじゃない。前に同じクラスになったことがあったけど、とある出来事があってからあまり会話をしたく無くなってきた。
委員会の仕事中もよく自分の趣味とか話してくれるけど、俺があまり知らない話題なので知ってるふりをして答えてる。
昔はこうではなかったのに。それもまあ、全部あの出来事のせいだろう。
人生の全てが終わったように感じられたあの日が………。
「「「ありがとうございました」」」
授業が終わった教室はすぐに騒がしくなる。俺はこの騒がしさが誰よりも好きだ。
「なぁ颯人〜!!今の最後の問題ってどゆこと〜?」
………まあ、こういううるささは嫌いだけど。
「勇希、さっきの解説で分かんなかったのか?」
「いや答え読み上げただけじゃん!あんなん解説じゃねーよ!!」
「………チッ、しゃあねーな。」
「よっしゃサンキュ!」
ま、今日ぐらいは付き合ってもいいか。教科書を開いて勇希に見せながら解説を始める。
持田勇希とは幼稚園、いや、もっと前からの付き合いだ。話によると、俺と勇希は誕生日どころか生まれた時間もほぼ同じらしく、2,3分しか差が無かったらしい。
幼稚園から中2の今まで一度もクラスが離れたことがない、いわゆる腐れ縁ってやつだ。
たまに凄くねちっこくなったり、とんでもない嘘を吐いたりするが、そこだけ目を瞑ればノリもよく、明るいのでクラスの人気者だったりする。
一方の俺はボサボサめの黒髪に低い声、メガネといった典型的な陰キャモデル。でも一応友達はいるし(それなりに)、そこまで底辺ではない………と思う。
「………人?颯人?」
「っえ?あっ?どした?」
「どうしたはこっちのセリフだよ。急に黙りこくっちゃってさ。」
「あー悪い。ちょっとボーッとしてた。」
「頼むよ?じゃ、ここ教えてくんね?」
「オッケ。ここはxに4を代入して………」
5分ぐらいした頃。
「はぁ―――。やっと終わった………。」
「マジサンキュ!助かったわ〜。」
「まぁ、俺も復習になったからいいけどな………。」
「へへっ、だな!」
………なんか昔からコイツの笑顔見ると元気出てくんだよな。
「じゃ、俺隣のクラスの奴に用事あっから。」
と言って、さっさと居なくなってしまった勇希を目で追う。でも、教室から出てしまったらもう見えない。そんなとき、俺は猛烈に寂しさに襲われる。
「………次の授業の準備するか。」
そう呟いた俺の声は驚くほど感情が無かった。そんなことを考えていた時。
「あの、颯人くん。」
背後から声がかかった。振り向くと、焦げ茶色のロングヘアが視界に映った。
「あ、宇田さん。」
話しかけて来たのは宇田夏海だった。
「どしたの?」
「あ、いや、委員会の仕事って今日じゃなかったかなって…。」
「あー…………そうだったっけ。」
「うん。よろしくね。」
「ああよろしく。」
それだけ言うと、彼女は自分の席に戻っていった。
正直言うと、俺は彼女のことがあまり好きじゃない。前に同じクラスになったことがあったけど、とある出来事があってからあまり会話をしたく無くなってきた。
委員会の仕事中もよく自分の趣味とか話してくれるけど、俺があまり知らない話題なので知ってるふりをして答えてる。
昔はこうではなかったのに。それもまあ、全部あの出来事のせいだろう。
人生の全てが終わったように感じられたあの日が………。