市民の人たちも、空き地から開放され、みな商店街の中に戻っていった。
夏芽は、フリーニャのレイピアを拾い上げ、フリーニャに渡した。
レイピアの持ち手には、小さなハートのマークが刻まれていた。
「はい、これ!怪我とか大丈夫だった?思いっきり地面に叩きつけられてたけど」
夏芽が心配すると、フリーニャは自分の腰を叩いて笑顔でピースを作った。
「心配してくれてありがとう。なんとか回復呪文で治すことができたわ。でも、回復呪文にも、一日の上限があるから…。ローリアが駆けつけてくれなかったら、私、やられてたかもしれない……まだ未熟よ」
「よかった~。フリーニャが無事なら私も安心だよ!」
夏芽が話し終わった瞬間、夏芽のお腹から、ぎゅるるると音がなり、夏芽は、顔を赤くしてフリーニャの方を見た。
フリーニャは、その音を聞いてお腹を抱えて笑い出した。
「朝ご飯、まだ食べてないでしょ?昨日あのまま公園で寝ちゃってたんじゃない?」
「あ、なんでそれを……」
「やっぱりか…。今から一緒に「家」に帰りましょ。これからのこととか話し合いながらね。」
「はーい!」
二人はそうして、商店街の中に入った。
さっきまでシャッター街だった商店街も、今はそこそこ店も開いていて、かなり賑わっていた。
「さっきまで誰もいなかったのに、こんなに混んでるなんて」
夏芽が、お店の様子を一軒一軒まじまじと見ながら呟いた。
「みんな朝の内に買い物を済ませておくの。夜は邪鬼が出やすくなるからね。みんな気をつけているの」
「じゃあ、さっきの邪鬼は、割と珍しいの?」
「そうね。朝から出てくる邪鬼は、かなり珍しいといえば、珍しいわね。しかも、あんなにしっかりと鬼の見た目をしているのもめったにないわ。やっぱり、人型とかの一目でバレにくいものが多いからね」
「へぇ~。邪鬼は、夜の方が多いんだ。だからみんな夜の街を歩いていなかったのかあ。昨日から変だと思っていたんだよね」
夜に独りで歩いていて、人とすれ違うことがなかった原因はこれか。と分かり、夏芽は、深く納得した。
夏芽が来た道の角を曲がろうとすると、フリーニャが夏芽の服を軽くつまんだ。
「おっと、ちょっと待って。私たちの「家」は、ここだよ。」
そう言って、フリーニャは角にあった地下に続く階段を指さした。
その階段がある場所は、アーケードからの太陽の光が照らしていたため、なんとか見えたが、ほとんど暗くて、ほとんどの人が気づかないのではないかと夏芽は思った。
入口には看板で、「BAR↓」と錆びた字で書かれてあった。
その看板もボロボロで、今にも外れそうなほど、宙にぶらぶらと付いていた。
その真っ暗で、ホコリだらけの階段を二人は下り始めた。
「焦らないで。この階段もうボロボロだから、急ぐと壊れちゃから」
フリーニャについていく夏芽。
ギシギシと階段の軋む音が空洞内に広がる。
奥の方まで行くと、太陽の光が届かず、暗闇の中で、ひたすらに階段を降り続けた。
夏芽はこけないようにフリーニャの服を軽くつかんだ。
そして、ゆっくりと一段一段進んでいくと、中からぼんやりと光が漏れている銀色のドアがあった。
ギギギ……とそのドアを開くと、中は赤茶色の光が灯された静かなバーだった。
カウンター席には、他に誰もいない。
ただ静かにマスターがコップを拭いていた。
「どうして、いきなりこんなところに来たの?」
「決まっているよ。ここで、あなたと今後のことについて話すためよ。やっぱりこういう静かな場所で話さないと」
「だからってこんな……真っ昼間から…」
バーにあるおしゃれな時計は、ちょうど正午になったことを伝えていた。
カーン、カーン、と高い音が響く。
「よし、開店したよ。入ろう!」
フリーニャはカウンターの一番奥の席に座り、夏芽はその横に座った。
「ローリアもなにか頼めば?私が奢ったげる」
目の前にカタログが広げられる。
そこには美味しそうな料理やドリンクがたくさん載せられていた。
「じ、じゃぁ、これ、買って」
夏芽はメロンソーダを指さした。
夏芽は、フリーニャのレイピアを拾い上げ、フリーニャに渡した。
レイピアの持ち手には、小さなハートのマークが刻まれていた。
「はい、これ!怪我とか大丈夫だった?思いっきり地面に叩きつけられてたけど」
夏芽が心配すると、フリーニャは自分の腰を叩いて笑顔でピースを作った。
「心配してくれてありがとう。なんとか回復呪文で治すことができたわ。でも、回復呪文にも、一日の上限があるから…。ローリアが駆けつけてくれなかったら、私、やられてたかもしれない……まだ未熟よ」
「よかった~。フリーニャが無事なら私も安心だよ!」
夏芽が話し終わった瞬間、夏芽のお腹から、ぎゅるるると音がなり、夏芽は、顔を赤くしてフリーニャの方を見た。
フリーニャは、その音を聞いてお腹を抱えて笑い出した。
「朝ご飯、まだ食べてないでしょ?昨日あのまま公園で寝ちゃってたんじゃない?」
「あ、なんでそれを……」
「やっぱりか…。今から一緒に「家」に帰りましょ。これからのこととか話し合いながらね。」
「はーい!」
二人はそうして、商店街の中に入った。
さっきまでシャッター街だった商店街も、今はそこそこ店も開いていて、かなり賑わっていた。
「さっきまで誰もいなかったのに、こんなに混んでるなんて」
夏芽が、お店の様子を一軒一軒まじまじと見ながら呟いた。
「みんな朝の内に買い物を済ませておくの。夜は邪鬼が出やすくなるからね。みんな気をつけているの」
「じゃあ、さっきの邪鬼は、割と珍しいの?」
「そうね。朝から出てくる邪鬼は、かなり珍しいといえば、珍しいわね。しかも、あんなにしっかりと鬼の見た目をしているのもめったにないわ。やっぱり、人型とかの一目でバレにくいものが多いからね」
「へぇ~。邪鬼は、夜の方が多いんだ。だからみんな夜の街を歩いていなかったのかあ。昨日から変だと思っていたんだよね」
夜に独りで歩いていて、人とすれ違うことがなかった原因はこれか。と分かり、夏芽は、深く納得した。
夏芽が来た道の角を曲がろうとすると、フリーニャが夏芽の服を軽くつまんだ。
「おっと、ちょっと待って。私たちの「家」は、ここだよ。」
そう言って、フリーニャは角にあった地下に続く階段を指さした。
その階段がある場所は、アーケードからの太陽の光が照らしていたため、なんとか見えたが、ほとんど暗くて、ほとんどの人が気づかないのではないかと夏芽は思った。
入口には看板で、「BAR↓」と錆びた字で書かれてあった。
その看板もボロボロで、今にも外れそうなほど、宙にぶらぶらと付いていた。
その真っ暗で、ホコリだらけの階段を二人は下り始めた。
「焦らないで。この階段もうボロボロだから、急ぐと壊れちゃから」
フリーニャについていく夏芽。
ギシギシと階段の軋む音が空洞内に広がる。
奥の方まで行くと、太陽の光が届かず、暗闇の中で、ひたすらに階段を降り続けた。
夏芽はこけないようにフリーニャの服を軽くつかんだ。
そして、ゆっくりと一段一段進んでいくと、中からぼんやりと光が漏れている銀色のドアがあった。
ギギギ……とそのドアを開くと、中は赤茶色の光が灯された静かなバーだった。
カウンター席には、他に誰もいない。
ただ静かにマスターがコップを拭いていた。
「どうして、いきなりこんなところに来たの?」
「決まっているよ。ここで、あなたと今後のことについて話すためよ。やっぱりこういう静かな場所で話さないと」
「だからってこんな……真っ昼間から…」
バーにあるおしゃれな時計は、ちょうど正午になったことを伝えていた。
カーン、カーン、と高い音が響く。
「よし、開店したよ。入ろう!」
フリーニャはカウンターの一番奥の席に座り、夏芽はその横に座った。
「ローリアもなにか頼めば?私が奢ったげる」
目の前にカタログが広げられる。
そこには美味しそうな料理やドリンクがたくさん載せられていた。
「じ、じゃぁ、これ、買って」
夏芽はメロンソーダを指さした。