毎日二度寝&遅刻系JKは異世界に転生して最強の女性剣士の体になるも、寝ないと力とセクシーな体を保てないようです。

 「回復魔法が使えないっていうだけでどうして私の妹が、こんな目にあわないといけないの……?訳がわからない……」
 泣きながらそう言うマルコの頭をラテはそっと撫でた。
 「これは決まり、定めなのです。マルコさん。あなたがこの家系を継ぐのです。あなたが、、あなただけが、、」
 「いやだっ………」
 マルコはまた反抗しようとしたが、もう一つ手のひらが自分の頭の上にあることを感じ、留まった。
 その手のひらはラテの手よりも暖かく、柔らかく包まれるような温もりがあった。
 「もういいわ。あなた一人に託す。妹もそれを望んでいるわよ」
 母親は、マルコの頭を撫でながら今にも泣き出しそうな弱々しい声で言った。
 喉からなんとか絞り出したであろうその声は、ちょっとした騒音でもかき消されそうな小さな音だったが、重々しく、耳に残るようなトーンだった。
 自分のこの感情を慰めようとしてくれている女神のようにも思えたが、やっぱりどうしても妹のことを諦めきれなかった。
 家系のためにも諦めなきゃいけない……でも姉として諦めることができない……。
 母親は、慰めようとして頭を撫でてくれたのだろうが、逆に自分がよく分からなくなってきた。
 「うわああぁぁぁぁ!!!」
 そんな状況に耐えきれずに、頭を抱えたまま、二人の手を振り払って部屋の外に逃げ出し、階段を滑るような勢いで駆け下り、そのスピードのまま、家の外へ飛び出した………。

 その後、妹は殺されることはなく、森の奥の小屋にて育てられることになった。

 ※

 「戻ったよ~」
 夏芽は、旅館の自分の部屋に戻った。
 「アキホは絶対に起きていないだろう」と思っていた夏芽の予想は外れ、すでに布団から出て歯を磨いていた。
 「ふぁ、おかえり~」
 歯ブラシを咥えているアキホのことがどうしても新鮮に見えて、その姿をずっと見ていた。
 「な、なんでじっと見てんだよ!気持ち悪いなあ……」 
 「あ、あんたには言われたくないわよ!あんなに昨日べろべろだったのに」
 「なんだと…!、、てか、お前も歯を磨け。口が臭い女の子は嫌われるよ」
 「分かってるわよ!」
 そうして、アキホから歯ブラシを受け取ると、夏芽は歯を磨き出した。
 すると、歯を磨き出した夏芽のことを見てアキホは目を丸くした。
 「な、なんで、ろー、ローリア、お前、歯を磨いているんだ……頭が狂っちまったのか……?」
 「……何を言ってるのアキホ?」
 一瞬アキホが何を言っているのか分からなかった。
 「お前、歯を磨くのが大嫌いで、いつも私が磨いてあげていたのに……いきなりどうしちまったんだよ…」
 「え!そうなの?」
 「え?」
 まずい、、、やってしまった……。と思った夏芽は高速で今言ったことを訂正した。
 「あ、あー、あ、フリーニャにきつく言われてね、ははははは。ほら、自分で磨けるようになったよ!すごいでしょー」
 「あ、あー、すごいすごい」
 笑顔で歯を磨く夏芽を見て、半信半疑だったアキホからなんとかそらす事ができた。
 「ね、ねえアキホ。歯磨き終わったら食堂に行かない?もうお腹すいちゃって耐えられないよー」
 「ま、まあ、私もお腹空いてるし、ちょうどいいか。よし、行こう」

 ★
 食堂につくと、中には長机がたくさん並んでいたが、どこも満席だった。
 「んー、結構混んでるなぁ。こりゃ一回戻ったほうがいいかもなぁ」
 夏芽は、ウイッテがいる場所を見つけようとしたが、に人混みで紛れてどこに座っているかも分からなかった。
 アキホに言われた通りに部屋に戻ろうとしていた夏芽だったが、背中を向けた瞬間に声が聞こえた。
 それも、早朝に聞いた声と同じだった。
 「あ!お姉ちゃんだ!」