九月十二日
 ベッドから動けなかった。動きたくなかった。数日経っても何も変化がない。僕の生活は、数週間前に逆戻りしていた。
 スマホで動画サイトを開く。昔よく聴いていたアーティストの最近の曲がおすすめで流れてきた。公開日は一週間前。再生回数は三万程度。人気はあの頃とほとんど変わっていない。試しに聴いてみたが、歌自体もやはりあの頃と代わり映えしないものだった。一つ違うとすれば、今の僕にはもう、その歌の何が良いのかがわからないということだった。共感もしない。懐かしさも感じない。悲しい歌がそこにあるだけだった。
 僕は、音楽を垂れ流しながら瞼を閉じた。