九月六日
 暑さを感じるのも、外の音が聞こえるのも、自分の部屋の天井が見えることも、その全てが煩わしかった。気を逸らそうとすればするほど感覚は研ぎ澄まされていき、太陽の間近にいるように感じ、スピーカーの目の前にいるように感じ、部屋が押し潰されようとしているように感じてしまう。けれど何よりも、こんな状況でも変わらず腹が減ることが、気持ち悪くてしかたなかった。