それから彼と別れ、一人暮らしする自宅に戻り、しばらくしてバイトに向かう。

大学入学当初からコンビニでバイトしていて、気がつけばタバコにとても詳しくなっていた。

でも吸おうとは思わない、タバコ買うくらいなら本買うな〜と思いながらいつもレジを通している。

K君はタバコを吸うのだろうか。
今日一緒に歩いている限りタバコの匂いもなかったし、吸ってる雰囲気はない。
そういえば楽しかったな今日、暑かったけど。
まだ家にリコーダーはあっただろうか、今でもハム太郎弾けるかな?

そんなことを考えていたらその日のバイトは終わっていた。


翌日、家でYouTubeを見てダラついてると「ピコン!」と通知がなり、見知らぬアイコンからの通知だった。

(この前のポストの写真送っとく〜、どんな感じで準備する?)

あまりに突然のことで「えっ」と声に出してしまう。

K君から届いたLINEだった。

ゼミのグループLINEから探してきてくれたのだろう。

口角は自然としっかり上がり、ベッドの上でゴロンと一回転する。

そういえばプレゼンについて何も決めていなかった。

でも、突然LINEが来たこともあって頭は真っ白である。

(ありがとう!どうしよっか〜)

とても曖昧で他人任せの返信をしてしまった。

でも、本当にどうしようって感じなんです!すみません!

両手を合わせて心の中で彼に謝った。

さっきまで少し肌寒く感じていたエアコンの温度を1℃下げる。

ピコン!
再びスマホが合図する。

通知音と重なるようにスマホを手に取る。

(俺がポストで行こうって言ったからある程度プレゼンの資料作ろっか?)

(いいの?めっちゃ助かる!私でもポストについて調べれそうなことがあったら調べとくね!)

神かよ!!と彼に直接は言えないのでTwitterで呟いた。

そして、ハムスターがグッドポーズをしてるスタンプが送られてきた。

私の心の中で何かが温かくなったような気がした。

その証拠か、手汗が止まる勢いを知らない。

ちょっとしたら突然寒くなってエアコンの温度を2℃上げた。

何度かLINEで軽く話し合い、プレゼン当日にも早めに集まって打ち合わせをした。

結果的に大成功のプレゼンとは言えなかったが、クラスで笑いは取れた。

ただ先生だけは、それだけ?と言わんばかりに目を見開き苦笑いだった。

そんな先生を見ながら、K君と軽くハイタッチし、「おつかれ」と小声でねぎらい合う。

「先生すごい顔してるね」
イタズラ小僧のような無邪気さで彼が言う。

「誰だろうね〜〜、これ1本でいこうって言ったの〜〜」
首を大袈裟に傾げながら、彼を上目で見る。

彼を手を叩きながら大爆笑していた。

「はぁ、おもしろ」

私はただそんな彼を見つめるだけで満足だった。