◇◇◇
この教師どうなってんだよ。
めちゃくちゃプライベートなことをわざわざ他人がいる前で話題にするなんてあり得ない。
数十分前の俺が知ってたら絶対来なかったのに。
和田のやつ何の用だよ。
まず要件くらい言えよ。本当めんどくさい。
「おーい!悠!何さぼってんだよ」
そう大声で言いながら俺の背中に飛びつくのはいうまでもなく直樹だ。
「……重い。というかお前よりはちゃんとやってんだけど」
「たしかにそうかも知んないけどお前近寄るなオーラが凄すぎて周りの奴が怯えてんだけど」
「……だからなに?」
正直言って今話しかけられたところで気の利いたことなんか言える気しないし。そもそも別に話しかけて欲しいなんて思ってない。
「この教室で悠に動じないで掃除できてんの木野さんだけだからな?とりあえずもう少しだけ我慢しろよ」
直樹に言われてすっと視線を木野に移した。
たしかに黙々と箒を動かしてる。で、それを遠巻きに見てる女子。
……別に俺の機嫌が良くても良くなくても掃除をする人間は変わらないんだろうな。
「……わかったから直樹も掃除しろよ」
「はいはい。わかってますよ」
やれやれとでも言いたげに肩をすくめた直樹の脛に一発入れた。
「っ……!」
「ふたりとも何してんの?」
呆れたように俺たちを見る井上に「別に」と答える。
声も出さずに悶えてる直樹を置いて掃除を再開する。
それにしても、どうして木野も一緒に呼ばれたんだろう。俺は心当たりがないこともないけど、木野は特に個別で呼び出されるようなことはしてないはずだ。
意味がわからないままため息をついたと同時に掃除の時間を終わらせるチャイムが響いた。
隣に座ってる木野にそっと視線を移すと驚くほどわかりやすく面倒なことになったと顔に書いてあった。
連絡が来たのか慌てて確認した木野はほっとしてるのに何かに怯えたような瞳で画面を見つめていた。
……どんな連絡が来たらそんな顔になるんだよ。
思わずそう思ってしまうくらい珍しく動揺していた。
木野も面倒くさそうだしさっさと行って終わらせようとここまで来た。
それがこれかよ。
「待ってくれ、わかってる。詳しい話はしないから2人とも落ち着け。特に木野はな」
ぴくっと肩を震わせた木野は消えいりそうな声で「……はい」と返事をした。
「……で?わざわざ俺と木野を呼んだ理由は?」
「それは、さっき言ったことだよ。蒼井も木野も記憶にちょっと抱えてるものがあるだろ」
……は?
「だから、似たもの同士お互い何かしらいい影響があるんじゃないかと思ってな」
和田が話してることなんか何もわからない。
似たもの同士?
記憶に抱えてるものがある?
……たしかに俺には中学2年生の3学期から中学3年生の2学期までの記憶がない。
原因はわからない。医者でもわからなくて心因性のものだという診断を受けてる。
「……私と蒼井が似たもの同士?記憶に抱えてるものがある?なんのことですか?」
木野の言葉に和田は驚いたように眉をあげた。
「木野のその症状も中学2年生の3学期からだろ?」
「「は?」」
廊下からは部活をやってる声が遠くから微かに響いていた。
この教師どうなってんだよ。
めちゃくちゃプライベートなことをわざわざ他人がいる前で話題にするなんてあり得ない。
数十分前の俺が知ってたら絶対来なかったのに。
和田のやつ何の用だよ。
まず要件くらい言えよ。本当めんどくさい。
「おーい!悠!何さぼってんだよ」
そう大声で言いながら俺の背中に飛びつくのはいうまでもなく直樹だ。
「……重い。というかお前よりはちゃんとやってんだけど」
「たしかにそうかも知んないけどお前近寄るなオーラが凄すぎて周りの奴が怯えてんだけど」
「……だからなに?」
正直言って今話しかけられたところで気の利いたことなんか言える気しないし。そもそも別に話しかけて欲しいなんて思ってない。
「この教室で悠に動じないで掃除できてんの木野さんだけだからな?とりあえずもう少しだけ我慢しろよ」
直樹に言われてすっと視線を木野に移した。
たしかに黙々と箒を動かしてる。で、それを遠巻きに見てる女子。
……別に俺の機嫌が良くても良くなくても掃除をする人間は変わらないんだろうな。
「……わかったから直樹も掃除しろよ」
「はいはい。わかってますよ」
やれやれとでも言いたげに肩をすくめた直樹の脛に一発入れた。
「っ……!」
「ふたりとも何してんの?」
呆れたように俺たちを見る井上に「別に」と答える。
声も出さずに悶えてる直樹を置いて掃除を再開する。
それにしても、どうして木野も一緒に呼ばれたんだろう。俺は心当たりがないこともないけど、木野は特に個別で呼び出されるようなことはしてないはずだ。
意味がわからないままため息をついたと同時に掃除の時間を終わらせるチャイムが響いた。
隣に座ってる木野にそっと視線を移すと驚くほどわかりやすく面倒なことになったと顔に書いてあった。
連絡が来たのか慌てて確認した木野はほっとしてるのに何かに怯えたような瞳で画面を見つめていた。
……どんな連絡が来たらそんな顔になるんだよ。
思わずそう思ってしまうくらい珍しく動揺していた。
木野も面倒くさそうだしさっさと行って終わらせようとここまで来た。
それがこれかよ。
「待ってくれ、わかってる。詳しい話はしないから2人とも落ち着け。特に木野はな」
ぴくっと肩を震わせた木野は消えいりそうな声で「……はい」と返事をした。
「……で?わざわざ俺と木野を呼んだ理由は?」
「それは、さっき言ったことだよ。蒼井も木野も記憶にちょっと抱えてるものがあるだろ」
……は?
「だから、似たもの同士お互い何かしらいい影響があるんじゃないかと思ってな」
和田が話してることなんか何もわからない。
似たもの同士?
記憶に抱えてるものがある?
……たしかに俺には中学2年生の3学期から中学3年生の2学期までの記憶がない。
原因はわからない。医者でもわからなくて心因性のものだという診断を受けてる。
「……私と蒼井が似たもの同士?記憶に抱えてるものがある?なんのことですか?」
木野の言葉に和田は驚いたように眉をあげた。
「木野のその症状も中学2年生の3学期からだろ?」
「「は?」」
廊下からは部活をやってる声が遠くから微かに響いていた。

