次の日、土曜日。
 百合絵(ゆりえ)とデートをしていた。
 市内にあるカフェレストランだ。
 私は百合絵に事の顛末(てんまつ)を話す。

「マジで、あいつ最低じゃん! クズ男だよ!」

 百合絵はテーブルを(たた)き、(まゆ)()り上げ、怒声(どせい)を上げる。

「だよね」
 やっぱり、怒るよね。
 やはり、彼はクズ男だ。

「あいつの両親にチクってやろうかな。『御宅の息子さん、盗撮したり脅迫してくるんですけど』って」

 なるほど、いい提案(ていあん)だ。
 だが、逆切(ぎゃくぎ)れした彼が、何をするかがわからない。
 それが懸念材料(けねんざいりょう)でもある。

「最終手段はそれでいいと思う」

「最終手段っていう事は、今はしないってこと?」

 彼女は(うで)()み、不満(ふまん)げに言う。

「うん、そう。だけど、私には作戦があるの」

 彼から下僕関係になって、アレコレ考えた。

「作戦?」

「今は、彼の下僕だけど。一緒にいれば、ボロが出て、人にはいえない秘密とか弱みとか出てくると思うんだ。それをゲットすれば、下僕解消になるだろうし、私達の事も内緒にしてくれると思うの」

 昨日の夜に考えた作戦について語った。
 すると、百合絵はパアっと明るくなり。

「ソレ、いいじゃん! いい作戦だよ!」

 私の方に指を()し、上下に()る。
 
 正直、自信がなかったが、百合絵が『いい作戦だよ』と()めてくれると、勇気が()いてくる。
 さすがに一人じゃ、心細(こころぼそ)いので。

「百合絵も手伝ってね?」
 彼女にお願いすると百合絵は胸を(たた)き。

「もちろんよ!」