外に出ると、もう桜はほとんど散っていた。
春休みの終わりなんて、だいたいこんなもんだ。
一番低層階にある三年生のフロアに足を進めて、三年三組の教室に入った。
三組からは就職組の一組と専門学校組の二組とは違い、大学志望者たちが集まるクラス。
でも就職専門の二組の次にくるのは短大と大学のごちゃ混ぜだと、どこかで聞いたことがあった。
きっとそれは、今の僕にはピッタリなんだろう。
類は友を呼ぶと言うように、悩みは悩みを呼び、僕は頭を抱える日々が続いていた。
この中にはしっかりとした目標を持っている人が大勢いて、ぼーっと生きている僕とは大違いだ。
始業式を終え、新しい担任と顔を合わせ、提出物を一時間という長い時間をかけて全て提出して解散になる。
始まったときは長いと感じたその時間も、いざ終わるとすぐだったという体感は嫌いではなかった。
「佐々木!ちょっと」
パラパラと提出物の一つである進路希望調査を眺めた新担任は、帰ろうとリュックを背負った僕を大声で呼び止めた。
「はい」
いやいや先生の元へ行くと、先ほど提出したばかりの進路希望調査を押し付けられた。
「『大学』だけじゃなくて、きちんと大学名を書きなさい。決まっていないなら図書室に資料があるから時間があるときに見に行きなさい」
それだけ言って、押し付けた紙はそのままに、重要書類を大量にカゴに入れて教室を出て行ってしまった。
時間があるときに、とか言ってるけど、どうせ今すぐにでも行ってこいってことだろう。
僕は教室を出て、昇降口とは反対方向に足を進めた。