「朱莉ちゃん。顔上げて。」
しばらくの間続いた沈黙を破ったのは葵ちゃんだった。
「朱莉ちゃんはこれまで誰にも言えなかったような苦しみを抱えてきてたんだね。なのに、私はそれを知らずに傷つけるようなことをしちゃった…。こちらこそ、ごめんなさい。」
葵ちゃんも深々と頭を下げた。それと同時に、周りにいたみんなも深々と頭を下げた。
「私も、ごめん。朱莉の気持ちに寄り添ってなかった。一人でいるときに声をかければよかった。」
「ごめん、朱莉ちゃん。私も、何にも考えてなかった。」
「僕も、無理に話させたかも。そりゃ、自分の趣味を人には明かしたくないよね。」
みんなに謝られて、私はあわてて、「私が何にも言ってなかったから悪いんだよ。みんなが謝る必要なんてないよ。」と手をぶんぶんとふった。
「そうだわ。私たち、ケーキを作ったのよ。一緒に食べましょ。」
少し暗くなりかけた空気を変えるように芹菜ちゃんがそう切り出して、キッチンへと向かう。それに続いて、葵ちゃんや桃花ちゃんもキッチンへと向かった。
「ねぇ、朱莉。この光景を見て、やっぱり私なんて価値のない人間だって言える?」
「ううん。みんな、私のことをこんなに思っててくれたんだって感じたから。私は、みんながいるならきっと、つらい過去も乗り越えられる気がする。」
「そっか。よかった、朱莉に笑顔が戻って。」
陽彩が私を見て笑った。私もそれにつられて笑う。
「ちょっとそこのお2人何二人だけの世界入っちゃってんのよー」
「ほらほら、お皿並べるの手伝って~」
「私の朱莉ちゃんが…」
キッチンにいた3人に口々に言われ、私と陽彩は顔を見合わせると、またクスリと笑った。
「なんだか、私はいま、すごい幸せなところにいる気がする。」
気がついたらそう呟いていた。陽彩が後ろを向いて、まぶしいほどの笑顔で私を見た。
「すごい幸せなところに辿り着いたんだよ、朱莉は。」
自分が抱えている苦しさが消えることはないのかもしれない。だけれど、私は、その苦しみが消えなくても、仲間がいるなら、頑張れる。ちゃんと、前へ進める。そんな気がした。
私の心に、優しい灯りがともった。
しばらくの間続いた沈黙を破ったのは葵ちゃんだった。
「朱莉ちゃんはこれまで誰にも言えなかったような苦しみを抱えてきてたんだね。なのに、私はそれを知らずに傷つけるようなことをしちゃった…。こちらこそ、ごめんなさい。」
葵ちゃんも深々と頭を下げた。それと同時に、周りにいたみんなも深々と頭を下げた。
「私も、ごめん。朱莉の気持ちに寄り添ってなかった。一人でいるときに声をかければよかった。」
「ごめん、朱莉ちゃん。私も、何にも考えてなかった。」
「僕も、無理に話させたかも。そりゃ、自分の趣味を人には明かしたくないよね。」
みんなに謝られて、私はあわてて、「私が何にも言ってなかったから悪いんだよ。みんなが謝る必要なんてないよ。」と手をぶんぶんとふった。
「そうだわ。私たち、ケーキを作ったのよ。一緒に食べましょ。」
少し暗くなりかけた空気を変えるように芹菜ちゃんがそう切り出して、キッチンへと向かう。それに続いて、葵ちゃんや桃花ちゃんもキッチンへと向かった。
「ねぇ、朱莉。この光景を見て、やっぱり私なんて価値のない人間だって言える?」
「ううん。みんな、私のことをこんなに思っててくれたんだって感じたから。私は、みんながいるならきっと、つらい過去も乗り越えられる気がする。」
「そっか。よかった、朱莉に笑顔が戻って。」
陽彩が私を見て笑った。私もそれにつられて笑う。
「ちょっとそこのお2人何二人だけの世界入っちゃってんのよー」
「ほらほら、お皿並べるの手伝って~」
「私の朱莉ちゃんが…」
キッチンにいた3人に口々に言われ、私と陽彩は顔を見合わせると、またクスリと笑った。
「なんだか、私はいま、すごい幸せなところにいる気がする。」
気がついたらそう呟いていた。陽彩が後ろを向いて、まぶしいほどの笑顔で私を見た。
「すごい幸せなところに辿り着いたんだよ、朱莉は。」
自分が抱えている苦しさが消えることはないのかもしれない。だけれど、私は、その苦しみが消えなくても、仲間がいるなら、頑張れる。ちゃんと、前へ進める。そんな気がした。
私の心に、優しい灯りがともった。