その後はもうどうしたらいいのか分からなかった。クラスの人たちからはチラチラと視線を送られ、私たちの言い争いを聞いていたお客さんたちからは心配そうな声がちらほら聞こえてきた。
しばらく自分のやるべきことをこなしていると、お母さんたちが来てくれたけどまともなことができず、必死で笑顔を張り付けながら私の役目は終了、フリーな時間になったけど、葵ちゃんにあんなことを言ってしまったあとでは一緒に回ろうなんて言えずに、誰もいない中庭で一人時間を潰した。後夜祭の時も、一人でただすみっこに座り、誰も寄せ付けないように俯いて、カフェの残り物のオレンジジュースを飲んでいた。その様子を側で見ていた葵ちゃんたちはそっとその場を離れていった。

多分、こいつなんか嫌いって思ってるだろうね。一瞬でクラスの空気を壊してしまったから。

その様子を横目で見ながら、私はまた俯く。どうして、私はこんななんだろう。すぐ人の言葉に落ち込んで、人を信じられなくて。

涙を必死にこらえながら、私は文化祭を乗り切った。





家に帰りつくと、私はご飯を食べずにお風呂をサッと済ませてベットにダイブした。全てが敵に思えてきてしまった私の心はずっと沈んだままだった。


それから、私はまた心を閉ざしてしまった。葵ちゃんたちのことも信じられなくなり、当たり障りのない会話しか交わせなくなってしまったし、常に人の視線を気にするようになった。そして…。

「朱莉?ちょっと話したいことがあるんだけど。」
「ごめん、今日早く帰らないとだから…。」

殊更に陽彩を避けるようになった。末澤さんの視線は相変わらずきついままだ。私が不用意に接触しないように監視しているのだろう。

少しでも間違ってしまったらまた言われてしまう。

そんな絶望感を抱えながら学校に通い続け、私は人を信じる心を忘れたようになってしまった。多分いつかは裏切られてしまう。あの時のように。
私は友達も怖くなって人と関わることを必要最低限にし、偽りの笑顔を浮かべて日々を過ごした。日々のストレスで以前のように太ってしまうかもしれないと少し不安になったけれど、体にはそんなに変わりはなかった。

ただ、心は日に日に傷ついていった。

葵ちゃんや陽彩たちのことは毎日避けるようになってしまい、そんな日々を続けるうちに、向こうも私に近づいてこようとはしてこなくなった。

やっぱり私はすみっこで一人ぼっちになってるのがお似合いなんだよ。どうやったって人は変われないんだから。

私はいつしか、呪いのようにその言葉を繰り返し心の中でつぶやくようになった。