話し合いが終わると、私はさっさと直しちゃおうと切り裂かれた衣装を手に取る。ざっくりと切り込みが入ったところをどう繕うか考えていると、

「すごい切り込みが入っちゃってる…。こんなにズタズタにしなくてもいいのに。」

末澤さんが私を気の毒そうに見て、そう言った。黒川さんや赤坂さんは私を気遣うようにちらりと見た後、自分たちの作業に入っていく。私もこうしてはいられない!と、裁縫セットを手繰り寄せて、切られた部分を丁寧に縫い合わせていった。



「できた…!」

30分後、私は直した衣装をもって、ぐったりした。サイズはなるべく多めに見積もっていたけど、それでも綺麗に繕いたかったので、だいぶ時間がかかってしまった。

「お疲れさま。こっちの衣装も大体は作り終わったわよ。」
「ありがとう、黒川さん!」
「私も頑張ったよー。」
「赤坂さんもありがとう。」

私が2人にお礼を述べると、2人とも顔を見合わせて、フフッと笑った。

「みんなで協力すれば早く終わるもの。リハーサルまでに何とか間に合ってよかった。」

私も頷いて2人が衣装を段ボールに詰めるのを手伝っていく。大体、みんな制服の上から切れるようなローブ系やパーカー系をコスプレに選んでいたので、裾などがひらひらしてしまうのが難しい。なんとか段ボール箱の中に綺麗に入るように詰め終えると、教室のロッカーの上に置いた。

「今度は何もないといいんだけれど…。」

心配そうに黒川さんが呟いて、教室の鍵を閉めた。