翌日、帰りのHRで席替えが行われた。
「は?なんでお前が俺の隣にいるんだよ。」(藤野)
「ねえ、流石に酷くない?同じクラスって知らなかったの?泣きたいんだけど。」(狩口)
「おい、俺のこと見えてねえのかよ。」(宮市)
「わ!高校入ってもクラス一緒で席近くなのw?」(藤野)
「うるせえよ、幸いなことに隣じゃないからまだまし。」(宮市)
どうやら、2人は同じ中学出身のようだった。
「おーい、席移動したら班作って班長決めろよー。一学期中はそのメンツで掃除とか授業とか受けてもらうからなー。」(先生)
クラス全体が班を作ってそれぞれ自己紹介をしたりしていた。うちのクラスは32人だから、1班4人で8班できることになる。
「じゃあ、藤野班長ね。皆もいいよねー?」(狩口)
「いいよー。」(藤野と狩口以外の班員)
「は!?何勝手に決めてんだよ!」(藤野)
「まーまー、いいじゃないの~」(狩口)
「藤野、諦めたほうがいいぞ。こいつの自由奔放さを止めれる人見たことない。」(宮市)
怒涛の席替えを終えて部室に向かおうと玄関を出たときだった。ものすごい形相でこちらに詰め寄ってくる女性がいた。なんとなく逃げたほうがいいと思ってふたりのほうを見ると、狩口が固まっていた。
「狩口?」(藤野)
「ねえ、愛佳ちゃん。帰ろうか。」(女性)
「え、あ…」(狩口)
そう言って狩口の返事も聞かずに手を引っ張ってその女性は車に乗り込んだ。
その様子を俺と宮市を見ていることしかできなかった。
「なあ、叶翔。あの人誰か知ってる?」(藤野)
「いや、知らないけど、、、多分狩口の母親だと思う。小4の授業参観で見たのが最後だけど顔は変わってなかったから。」(宮市)
「え?小4って卒業式とか入学式にも来てなかったってこと?」(藤野)
「ああ。あいつとは長い付き合いでずっとクラスも一緒だったから。間違いないと思う。」(宮市)
「そうか…」(藤野)
その後俺等は部活に出て、狩口は急用で帰ったってことにした。
翌日、朝のニュースを見ていると親族を惨殺した女性が明け方現行犯逮捕されたそうだった。そのニュースを横目で見ながら家を出て、学校に向かった。いつも通り教室に入ると、俺の隣の席に狩口がいなかった。毎日朝一番に学校に来て校内中の窓を開けてるって噂の狩口が。しかも驚いたのが朝のHR後に担任が言っていたことだ。
「狩口が昨日怪我をしてしばらく入院するらしいんだ。2人は同じ部だろ?見舞いに行ってきてくれないか?」(担任)
入院?訳が分からなかった。
その日は叶翔は病院らしく見舞いにはいけないとのことだったから俺1人で行くことにした。不思議なことに狩口は仲のいい友達はいないらしい。全員なんとなくでつるんでるだけらしかった。
「失礼します…」(藤野)
そっと病室の扉を開けると窓の外を眺める狩口がいた。
「あ、こんにちわ。」(狩口)
力なくそういう狩口が昨日隣で笑っていた人と同一人物だとは思えなかった。顔中に痣があって、頭には包帯。手足には縛られていたようなあとまで残っていた。
「藤野くんかな?ちょっといいかい?」(医師)
医師に呼ばれ一度病室をあとにして医務室に向かった。
「どうかしましたか?」(藤野)
「見て分かる通り、彼女は母親に虐待を受けていたようだ。それもずっと前から。」(医師)
「え、何言ってるんですか?そもそもそんなの俺に話したってどうしようもないでしょ。」(藤野)
目の前のことに頭が追いつかなかった。
「そうだね。本来なら親族に話すような内容だ。今日の朝のニュースで親族を惨殺した女性を知ってるか?その人が狩口さんの母親なんだ。元々精神的に病んでしまっていてね、娘が自分のいないところで楽しんで笑っていることを知って初めて手を上げたらしい。」(医師)
淡々と告げられていたが、理解ができなかった。
「本当なら宮市くんにも話したかったんだがね。宮市くんのお母さんが朝早くに来てくれて『この子の保険証と着替えを取ってきます。なにか必要なものがあれば教えてください。』って。長い付き合いだったみたいで泣きながらそう言ってくれたよ。」(医師)
それから他にも今の狩口の状態とか色々教えてもらって俺は医務室をあとにした。
「狩口、これから先、何かあったら頼って。泣き言でも何でも聞くから。つらくなったら無理をしないで。もう2度と1人でどこか遠いところに行かないで。」(藤野)
この時、確実に俺の中で狩口が守らなければならない存在で、守りたい存在に変わっていった。何を捨ててでも守りたいと、笑顔をまた見せてほしいと思った。
「わかった」(狩口)
君が笑ってくれるならなんだってするから。僕の傍にずっといて…。
「は?なんでお前が俺の隣にいるんだよ。」(藤野)
「ねえ、流石に酷くない?同じクラスって知らなかったの?泣きたいんだけど。」(狩口)
「おい、俺のこと見えてねえのかよ。」(宮市)
「わ!高校入ってもクラス一緒で席近くなのw?」(藤野)
「うるせえよ、幸いなことに隣じゃないからまだまし。」(宮市)
どうやら、2人は同じ中学出身のようだった。
「おーい、席移動したら班作って班長決めろよー。一学期中はそのメンツで掃除とか授業とか受けてもらうからなー。」(先生)
クラス全体が班を作ってそれぞれ自己紹介をしたりしていた。うちのクラスは32人だから、1班4人で8班できることになる。
「じゃあ、藤野班長ね。皆もいいよねー?」(狩口)
「いいよー。」(藤野と狩口以外の班員)
「は!?何勝手に決めてんだよ!」(藤野)
「まーまー、いいじゃないの~」(狩口)
「藤野、諦めたほうがいいぞ。こいつの自由奔放さを止めれる人見たことない。」(宮市)
怒涛の席替えを終えて部室に向かおうと玄関を出たときだった。ものすごい形相でこちらに詰め寄ってくる女性がいた。なんとなく逃げたほうがいいと思ってふたりのほうを見ると、狩口が固まっていた。
「狩口?」(藤野)
「ねえ、愛佳ちゃん。帰ろうか。」(女性)
「え、あ…」(狩口)
そう言って狩口の返事も聞かずに手を引っ張ってその女性は車に乗り込んだ。
その様子を俺と宮市を見ていることしかできなかった。
「なあ、叶翔。あの人誰か知ってる?」(藤野)
「いや、知らないけど、、、多分狩口の母親だと思う。小4の授業参観で見たのが最後だけど顔は変わってなかったから。」(宮市)
「え?小4って卒業式とか入学式にも来てなかったってこと?」(藤野)
「ああ。あいつとは長い付き合いでずっとクラスも一緒だったから。間違いないと思う。」(宮市)
「そうか…」(藤野)
その後俺等は部活に出て、狩口は急用で帰ったってことにした。
翌日、朝のニュースを見ていると親族を惨殺した女性が明け方現行犯逮捕されたそうだった。そのニュースを横目で見ながら家を出て、学校に向かった。いつも通り教室に入ると、俺の隣の席に狩口がいなかった。毎日朝一番に学校に来て校内中の窓を開けてるって噂の狩口が。しかも驚いたのが朝のHR後に担任が言っていたことだ。
「狩口が昨日怪我をしてしばらく入院するらしいんだ。2人は同じ部だろ?見舞いに行ってきてくれないか?」(担任)
入院?訳が分からなかった。
その日は叶翔は病院らしく見舞いにはいけないとのことだったから俺1人で行くことにした。不思議なことに狩口は仲のいい友達はいないらしい。全員なんとなくでつるんでるだけらしかった。
「失礼します…」(藤野)
そっと病室の扉を開けると窓の外を眺める狩口がいた。
「あ、こんにちわ。」(狩口)
力なくそういう狩口が昨日隣で笑っていた人と同一人物だとは思えなかった。顔中に痣があって、頭には包帯。手足には縛られていたようなあとまで残っていた。
「藤野くんかな?ちょっといいかい?」(医師)
医師に呼ばれ一度病室をあとにして医務室に向かった。
「どうかしましたか?」(藤野)
「見て分かる通り、彼女は母親に虐待を受けていたようだ。それもずっと前から。」(医師)
「え、何言ってるんですか?そもそもそんなの俺に話したってどうしようもないでしょ。」(藤野)
目の前のことに頭が追いつかなかった。
「そうだね。本来なら親族に話すような内容だ。今日の朝のニュースで親族を惨殺した女性を知ってるか?その人が狩口さんの母親なんだ。元々精神的に病んでしまっていてね、娘が自分のいないところで楽しんで笑っていることを知って初めて手を上げたらしい。」(医師)
淡々と告げられていたが、理解ができなかった。
「本当なら宮市くんにも話したかったんだがね。宮市くんのお母さんが朝早くに来てくれて『この子の保険証と着替えを取ってきます。なにか必要なものがあれば教えてください。』って。長い付き合いだったみたいで泣きながらそう言ってくれたよ。」(医師)
それから他にも今の狩口の状態とか色々教えてもらって俺は医務室をあとにした。
「狩口、これから先、何かあったら頼って。泣き言でも何でも聞くから。つらくなったら無理をしないで。もう2度と1人でどこか遠いところに行かないで。」(藤野)
この時、確実に俺の中で狩口が守らなければならない存在で、守りたい存在に変わっていった。何を捨ててでも守りたいと、笑顔をまた見せてほしいと思った。
「わかった」(狩口)
君が笑ってくれるならなんだってするから。僕の傍にずっといて…。