わたしの付与魔法は転写魔法ってことにした。
少々苦しいけど、この世界の人に詳しい違いがわかる人もいない。ましてや固有魔法は千差万別。同じのようでちょっと違う。ロコルさんの固有魔法も独特で同じことが出来る人はいなかったそうだ。
そこで転写魔法だ。
ある現象をある物質に写せる。多少の誤魔化しはあるけど、一番転写ってのがしっくりくると思う。今からそっちに似せてけばいいわ。
で、転写(付与)したいのがロコルさんの技術だ。
金属を操れる固有魔法がなくてもロコルさんの腕は一流だ。この腕があるなら欲しかったものが作れるはずだわ。
さすがのロコルさんでも作るのに五日ほど掛かってしまったが、一度作ってしまえば付与(転写)した技術で量産出来る。
転写(付与)にはロコルさんの金属を操れる固有魔法も転写(付与)している。
木枠を作り、バイバナル商会が手に入れたバッテリー(ただの陶器の箱で、それに魔力が溜まるように付与されているっぽい)を接続。針を自由に動かす全自動タオル製造器の出来上がりっと。
「これでタオル使い放題だわ!」
布で体を拭くの、ちょっと物足りなかったのよね。
五日で一枚はさすがに時間が掛かり過ぎなので魔力を消費するけど、五倍速の付与を施した。
これは魔力消費を上げたからって説明をしておく。検証出来る人がいないんだから言ったもんが勝ちよ。
機械製造を知っているから一日一枚なんて効率悪すぎると思うけど、こちらの人からしたら驚天動地(何となく勢いで使ってます)。レンラさんから伝わったのでしょう。山にルクゼック商会のルガリアさんがやって来た。
「素晴らしいです!」
そりゃどうも。わたしとしてはこんなに早く伝わるとは思わなかったわ。ここの商人、どんだけ迅速なのかしら? タオル製造器が出来てまだ三日よ。せめて十枚は作りたかったわ……。
「これはもっと作れるのですか?」
「バッテリーと魔石があればすぐですね」
木枠なんて職人さんに掛かれば秒で作れるんじゃないかしら? わたしの転写(付与)なんて一瞬だしね。
「あ、糸も必要ですね。一枚作るのにかなりの量を必要としますから」
「バッテリーと魔石でしか……」
「ただ、バッテリーならわたしでも何とかなるかもです。この魔法を別のものに転写すればいいだけですからね」
転写じゃなく複写だろうって突っ込みは誰からも受けませんでした。転写も複写も細かいことはわかってないんでしょうよ。転写もよくわかってない感じだったからね。
「出来るんですか!?」
「ただ、それをやって構わないんですか? これを作った人か、国に怒られたりしません?」
実はもう作ってみたのよね。魔力を溜める付与はそれほど難しくなかったわ。
……てか、バッテリーを作った人、かなり頭がいい人だわ。分解したら魔法が解けたからね。分解されることを見越して作っているんだろうね……。
「そう、ですね。真似をした、とは言われるでしょうが、罪になることはないと思いますよ。国交はないので罪に問われることはありませんしね。ただ、名前は変えておきますか。何がいいですかね?」
「何でもいいんじゃないですか? わたしは器を作れるだけで、魔力を溜め込むのは別の人なんだし」
バッテリーとはよく付けたと思うわ。これを作った人、わたしと同じ世界から転生か転移したんじゃないかしら?
「うー。何にしますかね~?」
「別に付けなくてもいいんじゃないですか? 重要なのはタオル織り器ですからね」
セットにしてしてしまえばパクったと言われることもないでしょうよ。
「なるほど。確かにそのとおりですね。キャロルさんとロコルがいれば真似をされることもないのですからね」
しれっとわたしも混ざっているんですね。いやまあ、今さらなんですけど。
「バッテリーじゃなく魔石にしたら切れるまではずっと動きますよ」
魔石がないからバッテリーにしたけど、魔石なら四十日くらいは動いているんじゃないかしら? 魔石って凄い量の魔力が結晶化したようなものだからね。
「難しいところですね。魔石は希少ですから」
「魔力を集めるのも大変だと思いますよ。魔法使いを集められるなら別ですけど」
魔法使いはいると思うけど、バッテリーに魔力を溜めるほどの持ち主がどれほどいるか。貴族でもないとバッテリーを満杯に出来ないんじゃないかな?
「わたしは無理ですよ。バイバナル商会からお願いされているものもありますから」
優先権(?)はバイバナル商会だ。タオルが欲しいからタオル織り器を作ったまでだ。
「タオルは高級品として貴族に売り、ルクゼック商会の宣伝に使うといいんじゃないですか? 貴族と仲良くなれればお金に困っている貴族を紹介してもらえるかもしれません。そんな貴族から魔力を買えばいいと思いますよ」
貴族もピンキリっぽい。爵位はあるけど、暮らしは楽ではない人もいるって聞いたわ。
「……なるほど。バイバナル商会がキャロルさんを全力で囲うわけです……」
「協力はしますが、キャロルさんの自由意思を汚すことはしないでください」
何やらレンラさんとルガリアさんが熱い視線を飛ばし合っている。
ハァー。そういうのはわたしの見えないところでやって欲しいです……。
少々苦しいけど、この世界の人に詳しい違いがわかる人もいない。ましてや固有魔法は千差万別。同じのようでちょっと違う。ロコルさんの固有魔法も独特で同じことが出来る人はいなかったそうだ。
そこで転写魔法だ。
ある現象をある物質に写せる。多少の誤魔化しはあるけど、一番転写ってのがしっくりくると思う。今からそっちに似せてけばいいわ。
で、転写(付与)したいのがロコルさんの技術だ。
金属を操れる固有魔法がなくてもロコルさんの腕は一流だ。この腕があるなら欲しかったものが作れるはずだわ。
さすがのロコルさんでも作るのに五日ほど掛かってしまったが、一度作ってしまえば付与(転写)した技術で量産出来る。
転写(付与)にはロコルさんの金属を操れる固有魔法も転写(付与)している。
木枠を作り、バイバナル商会が手に入れたバッテリー(ただの陶器の箱で、それに魔力が溜まるように付与されているっぽい)を接続。針を自由に動かす全自動タオル製造器の出来上がりっと。
「これでタオル使い放題だわ!」
布で体を拭くの、ちょっと物足りなかったのよね。
五日で一枚はさすがに時間が掛かり過ぎなので魔力を消費するけど、五倍速の付与を施した。
これは魔力消費を上げたからって説明をしておく。検証出来る人がいないんだから言ったもんが勝ちよ。
機械製造を知っているから一日一枚なんて効率悪すぎると思うけど、こちらの人からしたら驚天動地(何となく勢いで使ってます)。レンラさんから伝わったのでしょう。山にルクゼック商会のルガリアさんがやって来た。
「素晴らしいです!」
そりゃどうも。わたしとしてはこんなに早く伝わるとは思わなかったわ。ここの商人、どんだけ迅速なのかしら? タオル製造器が出来てまだ三日よ。せめて十枚は作りたかったわ……。
「これはもっと作れるのですか?」
「バッテリーと魔石があればすぐですね」
木枠なんて職人さんに掛かれば秒で作れるんじゃないかしら? わたしの転写(付与)なんて一瞬だしね。
「あ、糸も必要ですね。一枚作るのにかなりの量を必要としますから」
「バッテリーと魔石でしか……」
「ただ、バッテリーならわたしでも何とかなるかもです。この魔法を別のものに転写すればいいだけですからね」
転写じゃなく複写だろうって突っ込みは誰からも受けませんでした。転写も複写も細かいことはわかってないんでしょうよ。転写もよくわかってない感じだったからね。
「出来るんですか!?」
「ただ、それをやって構わないんですか? これを作った人か、国に怒られたりしません?」
実はもう作ってみたのよね。魔力を溜める付与はそれほど難しくなかったわ。
……てか、バッテリーを作った人、かなり頭がいい人だわ。分解したら魔法が解けたからね。分解されることを見越して作っているんだろうね……。
「そう、ですね。真似をした、とは言われるでしょうが、罪になることはないと思いますよ。国交はないので罪に問われることはありませんしね。ただ、名前は変えておきますか。何がいいですかね?」
「何でもいいんじゃないですか? わたしは器を作れるだけで、魔力を溜め込むのは別の人なんだし」
バッテリーとはよく付けたと思うわ。これを作った人、わたしと同じ世界から転生か転移したんじゃないかしら?
「うー。何にしますかね~?」
「別に付けなくてもいいんじゃないですか? 重要なのはタオル織り器ですからね」
セットにしてしてしまえばパクったと言われることもないでしょうよ。
「なるほど。確かにそのとおりですね。キャロルさんとロコルがいれば真似をされることもないのですからね」
しれっとわたしも混ざっているんですね。いやまあ、今さらなんですけど。
「バッテリーじゃなく魔石にしたら切れるまではずっと動きますよ」
魔石がないからバッテリーにしたけど、魔石なら四十日くらいは動いているんじゃないかしら? 魔石って凄い量の魔力が結晶化したようなものだからね。
「難しいところですね。魔石は希少ですから」
「魔力を集めるのも大変だと思いますよ。魔法使いを集められるなら別ですけど」
魔法使いはいると思うけど、バッテリーに魔力を溜めるほどの持ち主がどれほどいるか。貴族でもないとバッテリーを満杯に出来ないんじゃないかな?
「わたしは無理ですよ。バイバナル商会からお願いされているものもありますから」
優先権(?)はバイバナル商会だ。タオルが欲しいからタオル織り器を作ったまでだ。
「タオルは高級品として貴族に売り、ルクゼック商会の宣伝に使うといいんじゃないですか? 貴族と仲良くなれればお金に困っている貴族を紹介してもらえるかもしれません。そんな貴族から魔力を買えばいいと思いますよ」
貴族もピンキリっぽい。爵位はあるけど、暮らしは楽ではない人もいるって聞いたわ。
「……なるほど。バイバナル商会がキャロルさんを全力で囲うわけです……」
「協力はしますが、キャロルさんの自由意思を汚すことはしないでください」
何やらレンラさんとルガリアさんが熱い視線を飛ばし合っている。
ハァー。そういうのはわたしの見えないところでやって欲しいです……。