次の日は陽が出る頃に家を出た。
「お城まで通うの面倒だね」
車もなく時計もない世界。それが当たり前の記憶があるから苦には感じないけど、あったらいいな~と考えてしまうくらいには前世の記憶が顔を出してくるよね。
「うん。面倒」
ティナも同じ気持ちのようで、ちょっと肩を落としていた。
前世のサラリーマンもこんな感じで会社に通っていたのかしらね? 働くのは嫌いじゃないけど、通勤は嫌いだわ。
「馬車とか欲しいね」
「そうだね。買うとなると高いと思うけど」
馬と荷台で金貨数枚になるとかあんちゃんが言ってたっけ。今のわたしたちじゃ逆立ちしても買えないわね。
何かいい方法はないものかな~、なんて考えていたらお城に到着。昨日とは違う兵士さんに草むしりをしに来たことを告げ、まずは中で朝食をいただくことにした。
朝食は昨日のうちに作り、鞄の中に入れておいた。
どうもわたしの固有魔法は付与魔法っぽい。まだ創造魔法も捨て切れないけど、七割の確率で付与魔法なんだと思うわ。
アイテムボックス化した鞄は時間停止で熱いものは熱いままで。おもしろいのは水をそのまま入れても中で混ざることもなく、傾けて水と念じればそのまま出て来る。わたしの考えた追加機能がそのまま施されるのだ。
「どこかに牛っていないかな?」
ホットミルクが飲みたいわ。
「チーズがあるんだからどこかで飼っているかもね」
付与魔法だったらチーズとか鞄の中で作れないかな? それが出来たら麦麹とかも作れるのにな~。
いや、付与魔法なら試してみる価値はあるわね。と言うか、いろいろ試してみなさいよ、わたし。鞄をアイテムボックス化出来たんだから難しい手順よりイメージが物言うってことじゃない。
ってことは帰ってから考えましょう。今日の草むしりはこれからなんだからね。
兵士さんに声を掛けて草むしりスタート。黙々と草をむしり、お昼になったらお弁当を食べる。少し休んだら再開と、夕方まで続けた。
「よくがんばったな。二日目は一人銅貨四枚だ」
おや? 日毎に上がって行くシステム?
「ありがとうございます。あ、これ、余ったので食べてください」
鞄から芋餅を出して兵士さんに渡した。
昨日、お母ちゃんたちが芋餅作りを行ったようで、大量に持たされたのよね。でも、わたしたちはハンバーガーが食べたかったから残っちゃったのよ。
まあ、鞄に入れておけばいいんだけど、兵士さんたちに心付けを渡しておきましょう。前世のように厳しい決まりなんてないでしょうからね。
「何だい、これは?」
「茹でた芋を潰して焼いて特製マー油を塗ったものです。うちの村で最近流行っているんです。美味しいですよ」
まあ、一つ食べてくださいと勧めた。
「こいつは美味いな!」
「気に入ったらまた持ってきますよ。火で炙ると美味しくなりますし」
「おお、頼むよ。いくらだ?」
いくら? そこまで考えていなかったわ。
「五個で銅貨一枚です」
よくわかんないけど、材料費と手間賃を考えたらそのくらいでしょう。量もあるし味もいいんだしね。
「銅貨一枚か。じゃあ、頼むよ」
「おれも頼むわ」
「わかりました。明日はたくさん持って来ますよ。作り置きがあるんで」
これは商売になるのでは? 屋台とかやってみようかしら?
兵士さんたちに挨拶して今日も広場にレッツゴー。豚骨とお肉を買って帰った。
家に帰ったらおばちゃんたちは帰っており、わたしがお風呂を掃除している間にティナは井戸から水を汲んでもらう。
ここで裏技を一つ。鞄を開いたまま桶に括りつけて井戸にドボン。いい感じに水が入った頃に引き上げて湯船に注いだ。
鞄の容量がどのくらいかわからないけど、余裕で湯船を満タンに出来るくらいには容量があるわ。
「これで井戸が枯れないんだから水が豊富なのね」
遠くに高い山が見えるからあそこから流れて来るんだろうか? 飢饉になったことはないって言うし、水が豊富な土地なんでしょうね。
お風呂が沸くまで夕食を食べる。
「お母ちゃん、芋餅って作った? 兵士さんたちが食べたいって言うから売ろうと思うんだ」
「作ったよ。たくさんあるから持ってきな」
うん。本当にたくさんあるわ。どうすんのよ、こんなに作って?
「芋、そんなにあるの?」
「収穫時だからね。続々採れているよ」
ここ、芋の名産地なの? まあ、たくさんあるならたくさん持っていくとしましょうか。たくさん売れるかはわからないけどさ。
夕食を食べたらお風呂にゴー! 各自よく洗い、難しい背中は洗いっこ。今日の汗を洗い落としたら湯船に入ってポッカポカ。これでよく冷えた牛乳とかあったら最高なのにね。
「明日の朝食とお昼、何にする?」
お風呂に入ってから作って鞄に入れるんですよ。
「ハンバーガーと豚骨スープ」
「ティナは飽きないね~」
わたしはちょっと飽きてきたわ。魚が食べたいわ。味は知らないけど。
「お金を稼いで美味しいもの探さないとね」
何はともあれ先立つものが必要だ。お金を稼いでいろんな食材を買って、美味しいものを探すとしましょうか。ふふ。楽しみだわ。
「お城まで通うの面倒だね」
車もなく時計もない世界。それが当たり前の記憶があるから苦には感じないけど、あったらいいな~と考えてしまうくらいには前世の記憶が顔を出してくるよね。
「うん。面倒」
ティナも同じ気持ちのようで、ちょっと肩を落としていた。
前世のサラリーマンもこんな感じで会社に通っていたのかしらね? 働くのは嫌いじゃないけど、通勤は嫌いだわ。
「馬車とか欲しいね」
「そうだね。買うとなると高いと思うけど」
馬と荷台で金貨数枚になるとかあんちゃんが言ってたっけ。今のわたしたちじゃ逆立ちしても買えないわね。
何かいい方法はないものかな~、なんて考えていたらお城に到着。昨日とは違う兵士さんに草むしりをしに来たことを告げ、まずは中で朝食をいただくことにした。
朝食は昨日のうちに作り、鞄の中に入れておいた。
どうもわたしの固有魔法は付与魔法っぽい。まだ創造魔法も捨て切れないけど、七割の確率で付与魔法なんだと思うわ。
アイテムボックス化した鞄は時間停止で熱いものは熱いままで。おもしろいのは水をそのまま入れても中で混ざることもなく、傾けて水と念じればそのまま出て来る。わたしの考えた追加機能がそのまま施されるのだ。
「どこかに牛っていないかな?」
ホットミルクが飲みたいわ。
「チーズがあるんだからどこかで飼っているかもね」
付与魔法だったらチーズとか鞄の中で作れないかな? それが出来たら麦麹とかも作れるのにな~。
いや、付与魔法なら試してみる価値はあるわね。と言うか、いろいろ試してみなさいよ、わたし。鞄をアイテムボックス化出来たんだから難しい手順よりイメージが物言うってことじゃない。
ってことは帰ってから考えましょう。今日の草むしりはこれからなんだからね。
兵士さんに声を掛けて草むしりスタート。黙々と草をむしり、お昼になったらお弁当を食べる。少し休んだら再開と、夕方まで続けた。
「よくがんばったな。二日目は一人銅貨四枚だ」
おや? 日毎に上がって行くシステム?
「ありがとうございます。あ、これ、余ったので食べてください」
鞄から芋餅を出して兵士さんに渡した。
昨日、お母ちゃんたちが芋餅作りを行ったようで、大量に持たされたのよね。でも、わたしたちはハンバーガーが食べたかったから残っちゃったのよ。
まあ、鞄に入れておけばいいんだけど、兵士さんたちに心付けを渡しておきましょう。前世のように厳しい決まりなんてないでしょうからね。
「何だい、これは?」
「茹でた芋を潰して焼いて特製マー油を塗ったものです。うちの村で最近流行っているんです。美味しいですよ」
まあ、一つ食べてくださいと勧めた。
「こいつは美味いな!」
「気に入ったらまた持ってきますよ。火で炙ると美味しくなりますし」
「おお、頼むよ。いくらだ?」
いくら? そこまで考えていなかったわ。
「五個で銅貨一枚です」
よくわかんないけど、材料費と手間賃を考えたらそのくらいでしょう。量もあるし味もいいんだしね。
「銅貨一枚か。じゃあ、頼むよ」
「おれも頼むわ」
「わかりました。明日はたくさん持って来ますよ。作り置きがあるんで」
これは商売になるのでは? 屋台とかやってみようかしら?
兵士さんたちに挨拶して今日も広場にレッツゴー。豚骨とお肉を買って帰った。
家に帰ったらおばちゃんたちは帰っており、わたしがお風呂を掃除している間にティナは井戸から水を汲んでもらう。
ここで裏技を一つ。鞄を開いたまま桶に括りつけて井戸にドボン。いい感じに水が入った頃に引き上げて湯船に注いだ。
鞄の容量がどのくらいかわからないけど、余裕で湯船を満タンに出来るくらいには容量があるわ。
「これで井戸が枯れないんだから水が豊富なのね」
遠くに高い山が見えるからあそこから流れて来るんだろうか? 飢饉になったことはないって言うし、水が豊富な土地なんでしょうね。
お風呂が沸くまで夕食を食べる。
「お母ちゃん、芋餅って作った? 兵士さんたちが食べたいって言うから売ろうと思うんだ」
「作ったよ。たくさんあるから持ってきな」
うん。本当にたくさんあるわ。どうすんのよ、こんなに作って?
「芋、そんなにあるの?」
「収穫時だからね。続々採れているよ」
ここ、芋の名産地なの? まあ、たくさんあるならたくさん持っていくとしましょうか。たくさん売れるかはわからないけどさ。
夕食を食べたらお風呂にゴー! 各自よく洗い、難しい背中は洗いっこ。今日の汗を洗い落としたら湯船に入ってポッカポカ。これでよく冷えた牛乳とかあったら最高なのにね。
「明日の朝食とお昼、何にする?」
お風呂に入ってから作って鞄に入れるんですよ。
「ハンバーガーと豚骨スープ」
「ティナは飽きないね~」
わたしはちょっと飽きてきたわ。魚が食べたいわ。味は知らないけど。
「お金を稼いで美味しいもの探さないとね」
何はともあれ先立つものが必要だ。お金を稼いでいろんな食材を買って、美味しいものを探すとしましょうか。ふふ。楽しみだわ。