お城は常に見えてたけど、なかなか立派なものよね。戦争とかあるのかしら?
「お城って、もっと華やかで綺麗なものだと思ってたけど、ごっついものなのね」
田舎だからお伽噺に出て来るお城は期待してなかったものの、もうちょっと夢のあるお城であって欲しかったわ。戦争とかある時代とか止めて欲しいわ。
「何十年かに一回、魔物が溢れるときがあるからね、城は強固にしないとダメなんだよ」
魔物が溢れる? スタンピート的なことが起こる世界なの?! ハードモード!?
「だ、大丈夫なの?」
「どうだろう? とう様が子供の頃に襲われたって話だけど」
ティナのお父さんが子供の頃っていうなら三十年前くらいかな? 結構頻繁に起こってない?
「まあ、別に滅ぶほどじゃなく、田畑が荒らされるくらいだって」
確かに、とんでもない数なら人類なんてとっくに滅んでいるか。村も平和な空気が流れているしね、そう被害は大きくないのかもしれないわね。
「慌てても仕方がないってことね」
備えることは大事でも気にしすぎても仕方がないよね。いつ来るかわかんないんだし。
「キャロ、あれが兵士所じゃない?」
ティナが指を差す方向に人が二人くらい入れる小屋があった。
「あの、冒険者ギルドでお城の草むしりをしろって言われたんですけど、ここでいいんですか?」
小屋の前にいたおじさんに木札を見せながら尋ねた。
「ああ、仮登録の子か。久しぶりに来たな」
「そうなんですか? 朝からって話みたいだから下見に来ました」
「まあ、そうだが、今日から初めてもいいぞ。最近、仮登録の子が来ないから草が伸び放題なんだよ。ちゃんと一日分にしてやるぞ」
「ティナ、どうする?」
「やることもないならやってもいいんじゃない」
ってことなので草むしりをすることにした。
兵士のおじさんに笊を借り、まずは小屋の近くの草からむしり始めた。
草むしりは小さい頃からやっているので苦にはならないけど、本当に伸び放題ね。よくこれで何も言われなかったと思うわ。
わたしもティナも黙々とやるタイプなので、昼までずっと続け、お腹が空いて我に返った。
「ティナ、お昼にしようか」
「うん。お腹空いた」
兵士所まで行き、お昼にすることを告げた。
「それなら城の中で食うといい。井戸もあるしな」
「入っていいんですか?」
「第一門は出入り自由だ。兵士相手に料理を売りに来るヤツもいるからな」
へー。随分と緩いのね。まあ、それほど重要な場所でもなさそうだしね。忍び込もうとするヤツはいないか。
「入って左側に自由に使える井戸がある。竈もあるから何か焼くのもいいぞ。冒険者は鍋持参が基本だからな」
なるほど。冒険者は自分たちで作って食べるんだ。と言うか、兵士も冒険者育成に一役買っているのね。
橋を渡って第一門を潜ると、小学校の校庭くらいの広さがあり、キッチンカーみたいな馬車や日陰になりそうな木が何本も植えてあった。
「逃げ込んだときの薪にするのかな?」
時代劇漫画で籠城したときに使っていたっけ。ここも同じ理由なんだろうか? かなり育っているから樹齢三十年や四十年とかなんだろうな~。
「キャロ、早く食べよう」
「あ、ごめんごめん。じゃあ、手を洗おうか」
誰も井戸を使ってないので手や顔を洗い、鞄から水筒を出して水を交換した。もう初秋とは言え、気温は高い。冷蔵庫もない時代じゃ冷たい水は貴重なのよ。
さっぱりしたらお母ちゃんが作ってくれた芋餅やBLTサンド──ではないけど、ベーコンと目玉焼きを挟んだパンを出した。
マコモが売れたら屋台で食べようとしたからこのくらいしか持って来なかったのよね。
「明日は鍋を持ってきてスープを作ろうか」
「豚骨スープがいい。ボク、あれ好き」
「じゃあ、帰りに豚骨を買って帰りましょうか」
ここでは豚骨を煮たりしないので、安く売ってくれるのだ。マコモの代金はお母ちゃんに渡したけど、その前に市場で稼いだお金はまだ残っているんですよ。
しっかり食べて、食休みしたら草むしりを再開。夕方まで続けた。
そろそろ帰らないとと、兵士所に向かうと、今日の報酬として一人銅貨三枚をもらった。
「ここでもらうんですね」
冒険者ギルドでもらうんだとばかり思っていたわ。
「これは伯爵様が出している依頼だからな、報酬はここで払うんだよ」
へー。ここの伯爵様はやっぱり優秀みたいね。行き届いているわ~。
「ありがとうございます! また明日よろしくお願いします!」
「お願いします」
「随分と礼儀正しいこった。まあ、明日も頼むよ」
はいと、兵士所をあとにした。
「二人合わせるとお肉もちょっと買えるね。安いところを買ってハンバーグ作ろうか?」
「うん! そうしよう!」
前世のハンバーグと味は違うけど、それなりに美味しいハンバーグはティナの大好物。明日も食べられるようがんばりますか。
お肉屋さんに行くと、大量の骨と余り肉を安く売ってくれた。
「おじさん。明日も買いに来るから骨を取っておいてね」
「ああ。わかったよ」
まだ数回しか来てないのにもう常連客っぽくなってるな~。まあ、お肉は毎日でも食べたいので、草むしりの間は買いに来るとしましょうかね。ふふ。
「お城って、もっと華やかで綺麗なものだと思ってたけど、ごっついものなのね」
田舎だからお伽噺に出て来るお城は期待してなかったものの、もうちょっと夢のあるお城であって欲しかったわ。戦争とかある時代とか止めて欲しいわ。
「何十年かに一回、魔物が溢れるときがあるからね、城は強固にしないとダメなんだよ」
魔物が溢れる? スタンピート的なことが起こる世界なの?! ハードモード!?
「だ、大丈夫なの?」
「どうだろう? とう様が子供の頃に襲われたって話だけど」
ティナのお父さんが子供の頃っていうなら三十年前くらいかな? 結構頻繁に起こってない?
「まあ、別に滅ぶほどじゃなく、田畑が荒らされるくらいだって」
確かに、とんでもない数なら人類なんてとっくに滅んでいるか。村も平和な空気が流れているしね、そう被害は大きくないのかもしれないわね。
「慌てても仕方がないってことね」
備えることは大事でも気にしすぎても仕方がないよね。いつ来るかわかんないんだし。
「キャロ、あれが兵士所じゃない?」
ティナが指を差す方向に人が二人くらい入れる小屋があった。
「あの、冒険者ギルドでお城の草むしりをしろって言われたんですけど、ここでいいんですか?」
小屋の前にいたおじさんに木札を見せながら尋ねた。
「ああ、仮登録の子か。久しぶりに来たな」
「そうなんですか? 朝からって話みたいだから下見に来ました」
「まあ、そうだが、今日から初めてもいいぞ。最近、仮登録の子が来ないから草が伸び放題なんだよ。ちゃんと一日分にしてやるぞ」
「ティナ、どうする?」
「やることもないならやってもいいんじゃない」
ってことなので草むしりをすることにした。
兵士のおじさんに笊を借り、まずは小屋の近くの草からむしり始めた。
草むしりは小さい頃からやっているので苦にはならないけど、本当に伸び放題ね。よくこれで何も言われなかったと思うわ。
わたしもティナも黙々とやるタイプなので、昼までずっと続け、お腹が空いて我に返った。
「ティナ、お昼にしようか」
「うん。お腹空いた」
兵士所まで行き、お昼にすることを告げた。
「それなら城の中で食うといい。井戸もあるしな」
「入っていいんですか?」
「第一門は出入り自由だ。兵士相手に料理を売りに来るヤツもいるからな」
へー。随分と緩いのね。まあ、それほど重要な場所でもなさそうだしね。忍び込もうとするヤツはいないか。
「入って左側に自由に使える井戸がある。竈もあるから何か焼くのもいいぞ。冒険者は鍋持参が基本だからな」
なるほど。冒険者は自分たちで作って食べるんだ。と言うか、兵士も冒険者育成に一役買っているのね。
橋を渡って第一門を潜ると、小学校の校庭くらいの広さがあり、キッチンカーみたいな馬車や日陰になりそうな木が何本も植えてあった。
「逃げ込んだときの薪にするのかな?」
時代劇漫画で籠城したときに使っていたっけ。ここも同じ理由なんだろうか? かなり育っているから樹齢三十年や四十年とかなんだろうな~。
「キャロ、早く食べよう」
「あ、ごめんごめん。じゃあ、手を洗おうか」
誰も井戸を使ってないので手や顔を洗い、鞄から水筒を出して水を交換した。もう初秋とは言え、気温は高い。冷蔵庫もない時代じゃ冷たい水は貴重なのよ。
さっぱりしたらお母ちゃんが作ってくれた芋餅やBLTサンド──ではないけど、ベーコンと目玉焼きを挟んだパンを出した。
マコモが売れたら屋台で食べようとしたからこのくらいしか持って来なかったのよね。
「明日は鍋を持ってきてスープを作ろうか」
「豚骨スープがいい。ボク、あれ好き」
「じゃあ、帰りに豚骨を買って帰りましょうか」
ここでは豚骨を煮たりしないので、安く売ってくれるのだ。マコモの代金はお母ちゃんに渡したけど、その前に市場で稼いだお金はまだ残っているんですよ。
しっかり食べて、食休みしたら草むしりを再開。夕方まで続けた。
そろそろ帰らないとと、兵士所に向かうと、今日の報酬として一人銅貨三枚をもらった。
「ここでもらうんですね」
冒険者ギルドでもらうんだとばかり思っていたわ。
「これは伯爵様が出している依頼だからな、報酬はここで払うんだよ」
へー。ここの伯爵様はやっぱり優秀みたいね。行き届いているわ~。
「ありがとうございます! また明日よろしくお願いします!」
「お願いします」
「随分と礼儀正しいこった。まあ、明日も頼むよ」
はいと、兵士所をあとにした。
「二人合わせるとお肉もちょっと買えるね。安いところを買ってハンバーグ作ろうか?」
「うん! そうしよう!」
前世のハンバーグと味は違うけど、それなりに美味しいハンバーグはティナの大好物。明日も食べられるようがんばりますか。
お肉屋さんに行くと、大量の骨と余り肉を安く売ってくれた。
「おじさん。明日も買いに来るから骨を取っておいてね」
「ああ。わかったよ」
まだ数回しか来てないのにもう常連客っぽくなってるな~。まあ、お肉は毎日でも食べたいので、草むしりの間は買いに来るとしましょうかね。ふふ。