起きたら早朝だった。
今、山から太陽が出た感じで、わたしはタープの下で目覚めたようだ。
「気分はどう?」
ルルの声がして辺りを探すと、リュックサックの上で香箱座りをしていた。あなた、リュックサックの上好きね……。
「うん。いいよ。魔力が切れちゃったみたいね」
ステータス画面があるわけじゃないから自分の魔力がどれだけあるか感覚でしかわからない。見極めながらやらないと電池切れを起こしてしまうのよね。
「あまり無茶しないのよ。魔力枯渇で死ぬことだってあるんだから」
「気を付けるわ。まだ死にたくないしね」
この若さで死んだら何のために転生したかわかったもんじゃないわ。命大事に生きていかないと。
「そうだといいわね。あなたは夢中になると周りが見えなくなるから」
は、はい。ご忠告ありがとうございます。
「わたしが眠ってからどうなった?」
「別にどうもなってないわよ。好転もしてないし暗転もしてないわ。まあ、運ばれて来た者が死んだってことはないわ。苦しんでいる者はたくさんいるけど」
そっか。まあ、死んでないのなら現状維持ってことにしておきましょう。
「お腹空いたわね。ルルも食べる?」
「食べる」
鞄からハンバーガーと山葡萄ジュースを出して食べた。
「それ以上は出さないようにしなさい。魔法の鞄だってバレるわよ」
はぁ~。便利のようで不便よね。もっと魔法の鞄を普及したほうがいいかしら? でも、わたしの魔力じゃ一日一つが限界だし、なんともかんともよね……。
二個も食べればお腹一杯なので、わたしの魔力は燃費はいいよね。あ、魔力回復強化とかすればいいんじゃない? 家に帰ったら試してみましょうっと。
「お風呂に入ってさっぱりしたいわね」
「我慢しなさい」
そうね。一日二日お風呂に入れないで泣いてたら冒険者なんてやってらんないか。服に清浄の付与を施して実験してみましょう。
まずはリストバンドの効果を確かめるとしましょうかね。
「呻き声は聞こえないわね?」
テントやタープは張られておらず、野ざらしで寝かされていた。
まだどの人も眠っているので起こさないよう怪我人を見て回った。
一とおり見て回ったら重傷者さんのところに向かって状態を確認した。
火傷は軽めのものになっているけど、完治したってのにはほど遠い。元の世界なら今すぐ救急車を呼べ! ってレベルだわ。
「……厳しい時代よね……」
医療が発達した世界でもわたしの病気は治せなかったけど、お医者さんにも診てもらえないってのも酷いものよね。
まあ、だからと言ってお医者さんを目指す気持ちは湧いてこないのだから時代を呪うのは筋違い。失っていく命を受け入れるしかないわね。
リストバンドを外し、回復した魔力を籠めた。
魔力を満タンにしたら別の人の腕につけ、魔力切れを起こしたリストバンドを集めた。
「やっぱり十個が精々か」
もっと出来そうなものなのに、なにが制限をかけているのかしら? アイテムバッグ化させるより魔力はかからないと思うんだけどな~?
「また無茶する」
ぺしっとティナに頭を叩かれてしまった。
「昨日のことを忘れたのか? 魔力切れ起こしたの? 何でいつも全力なんだよ」
襟首をつかまれて、先ほど寝ていた場所に戻されてしまった。
「ルル。ちゃんと見張っておいて」
「はいはい」
結界を纏わせられ、強制的に寝かせられてしまった。
あれほど眠ったのに魔力枯渇は体に負担を掛けるようですぐに眠りに付いてしまった。
で、起きたら真夜中でした~。
「……わたし、何しにここに来たんだ……?」
「無茶しにじゃない?」
眠りにつく前からリュックサックの上で香箱座りをするルル。その隙間に指突っ込んだろうか?
「ハァー。誰か死んだ人はいる?」
「薬を運んで来たから死んだ者はいないわ。あと、サナリクスのアルセクスが来たわ」
「アルセクスが?」
アイテムバッグを広めは終わったのかしら?
「ええ。夕方にね。今はティナと見張りに就いているわ。あなたは寝てなさい」
起きようとしたらルルの結界で閉じ込めれていた。牢獄か。
「食事して眠りなさい」
説得は無理そうなのでサンドイッチを出して食べ、お腹が落ち着いてから横になった。
「魔力は使っちゃダメよ」
はいはい。大人しく眠りますよ。
まったく眠くないと思ったけど、気が付いたら眠っており、起きたらお昼になっていた。疲れてた、わたし?
「起きたか」
アルセクスさんの声がして顔を上げると、ルーグさんがいた。
「え、えーと、あれ?」
わたし、夢でも見てた? カルブラから帰る途中だった?
「君たちを迎えに来ました。あとは、鉄星の冒険者たちに任せなさい」
「そうするといい。君たちがいてもやることはないだろうからな」
どうも有無を言わせないような感じがあった。
まあ、今のわたしたちに何が出来るって話だけど、もうちょっと実験をしたかったわ~。
「ティナ。リストバンドを集めて」
一日で重傷が中傷まで回復した。なら、それより程度が低い人はそこそこ回復したでしょうよ。
「また実験ですか?」
「実験しないと成否がわからないですからね。必要なことです」
「帰ったら説明してくださいね」
「もちろんです。わたしが持っていると危険ですからね」
危ないものはバイバナル商会にお任せ。わたしはその結果だけをいただきます。
今、山から太陽が出た感じで、わたしはタープの下で目覚めたようだ。
「気分はどう?」
ルルの声がして辺りを探すと、リュックサックの上で香箱座りをしていた。あなた、リュックサックの上好きね……。
「うん。いいよ。魔力が切れちゃったみたいね」
ステータス画面があるわけじゃないから自分の魔力がどれだけあるか感覚でしかわからない。見極めながらやらないと電池切れを起こしてしまうのよね。
「あまり無茶しないのよ。魔力枯渇で死ぬことだってあるんだから」
「気を付けるわ。まだ死にたくないしね」
この若さで死んだら何のために転生したかわかったもんじゃないわ。命大事に生きていかないと。
「そうだといいわね。あなたは夢中になると周りが見えなくなるから」
は、はい。ご忠告ありがとうございます。
「わたしが眠ってからどうなった?」
「別にどうもなってないわよ。好転もしてないし暗転もしてないわ。まあ、運ばれて来た者が死んだってことはないわ。苦しんでいる者はたくさんいるけど」
そっか。まあ、死んでないのなら現状維持ってことにしておきましょう。
「お腹空いたわね。ルルも食べる?」
「食べる」
鞄からハンバーガーと山葡萄ジュースを出して食べた。
「それ以上は出さないようにしなさい。魔法の鞄だってバレるわよ」
はぁ~。便利のようで不便よね。もっと魔法の鞄を普及したほうがいいかしら? でも、わたしの魔力じゃ一日一つが限界だし、なんともかんともよね……。
二個も食べればお腹一杯なので、わたしの魔力は燃費はいいよね。あ、魔力回復強化とかすればいいんじゃない? 家に帰ったら試してみましょうっと。
「お風呂に入ってさっぱりしたいわね」
「我慢しなさい」
そうね。一日二日お風呂に入れないで泣いてたら冒険者なんてやってらんないか。服に清浄の付与を施して実験してみましょう。
まずはリストバンドの効果を確かめるとしましょうかね。
「呻き声は聞こえないわね?」
テントやタープは張られておらず、野ざらしで寝かされていた。
まだどの人も眠っているので起こさないよう怪我人を見て回った。
一とおり見て回ったら重傷者さんのところに向かって状態を確認した。
火傷は軽めのものになっているけど、完治したってのにはほど遠い。元の世界なら今すぐ救急車を呼べ! ってレベルだわ。
「……厳しい時代よね……」
医療が発達した世界でもわたしの病気は治せなかったけど、お医者さんにも診てもらえないってのも酷いものよね。
まあ、だからと言ってお医者さんを目指す気持ちは湧いてこないのだから時代を呪うのは筋違い。失っていく命を受け入れるしかないわね。
リストバンドを外し、回復した魔力を籠めた。
魔力を満タンにしたら別の人の腕につけ、魔力切れを起こしたリストバンドを集めた。
「やっぱり十個が精々か」
もっと出来そうなものなのに、なにが制限をかけているのかしら? アイテムバッグ化させるより魔力はかからないと思うんだけどな~?
「また無茶する」
ぺしっとティナに頭を叩かれてしまった。
「昨日のことを忘れたのか? 魔力切れ起こしたの? 何でいつも全力なんだよ」
襟首をつかまれて、先ほど寝ていた場所に戻されてしまった。
「ルル。ちゃんと見張っておいて」
「はいはい」
結界を纏わせられ、強制的に寝かせられてしまった。
あれほど眠ったのに魔力枯渇は体に負担を掛けるようですぐに眠りに付いてしまった。
で、起きたら真夜中でした~。
「……わたし、何しにここに来たんだ……?」
「無茶しにじゃない?」
眠りにつく前からリュックサックの上で香箱座りをするルル。その隙間に指突っ込んだろうか?
「ハァー。誰か死んだ人はいる?」
「薬を運んで来たから死んだ者はいないわ。あと、サナリクスのアルセクスが来たわ」
「アルセクスが?」
アイテムバッグを広めは終わったのかしら?
「ええ。夕方にね。今はティナと見張りに就いているわ。あなたは寝てなさい」
起きようとしたらルルの結界で閉じ込めれていた。牢獄か。
「食事して眠りなさい」
説得は無理そうなのでサンドイッチを出して食べ、お腹が落ち着いてから横になった。
「魔力は使っちゃダメよ」
はいはい。大人しく眠りますよ。
まったく眠くないと思ったけど、気が付いたら眠っており、起きたらお昼になっていた。疲れてた、わたし?
「起きたか」
アルセクスさんの声がして顔を上げると、ルーグさんがいた。
「え、えーと、あれ?」
わたし、夢でも見てた? カルブラから帰る途中だった?
「君たちを迎えに来ました。あとは、鉄星の冒険者たちに任せなさい」
「そうするといい。君たちがいてもやることはないだろうからな」
どうも有無を言わせないような感じがあった。
まあ、今のわたしたちに何が出来るって話だけど、もうちょっと実験をしたかったわ~。
「ティナ。リストバンドを集めて」
一日で重傷が中傷まで回復した。なら、それより程度が低い人はそこそこ回復したでしょうよ。
「また実験ですか?」
「実験しないと成否がわからないですからね。必要なことです」
「帰ったら説明してくださいね」
「もちろんです。わたしが持っていると危険ですからね」
危ないものはバイバナル商会にお任せ。わたしはその結果だけをいただきます。