「謝らないで、こっちこそごめん、なさい」

 違う。謝ってほしいなんて思っていない。なのに、自分が口下手で伝えることができない。こんなにも擬しいことがあるだろうか。

 自分に腹が立ってきた。それを必死にこらえる。苛立っている顔が美優さんに見えないように。

「なんでそんな傷ついた顔しているの?私何か気に障ることを言っちゃってた、、?」

 え?傷ついた顔なんてしたつもりがない。

「ううん、全然大丈夫。美優さんのせいじゃないよ」

 ただ、自分に腹が立っているだけ。

「じゃあなんで、そんな傷つているの、、?」
「俺、そんな顔してるの?」
「うん、すごく」

 そんな。美優さんに気を使わせたくなんてなかったのに。自分のせいで。

「そっか、ごめんね」