(あっ…)

 気付かれてしまったからには何もしないわけには行かず、男の子に離れた所、と言っても展望台はそれほど大きくはないので、真反対の所に座る。

 少し気まずい空気がながれている中男の子が話しかけてきた。

「ごめんね。ここ君がよくいる場所だよね、俺出てくから」

 そう言って立ち上がった男の子。しかし、考えるより先に言葉が出ていた。

「いいよ、別に…」

 自分でもなぜそう言ったのかわからない。でも、いいと思ったから口にした、ただそれだけだろう。

「ありがとう」

 男の子は改めて座り直す。

 しばしの沈黙。

「俺、海。君は」