夢を見ていた。これは恐らく、向こうの世界にいた時の夢だろう。なんとなく、僕にはそれが分かる。

 もう何度も見ている夢だ。僕は近所の遊歩道でランニングをしていた。

 その時、異様な空気を感じた。ゴォォォォ、という怪獣の唸り声のような音が辺りに響いていたからだ。

 池で悠々と泳いでいた鴨達が一斉に飛び立ち、木々に止まっていたカラス達も騒々しく鳴き始める。

 僕は何も考えずに、飛び立った鴨に視線を向けた。そして、異変に気が付いた。

 空から、白い光が落ちていた。その光はまるで飛行機雲のように煙を噴き出しながらこちらに迫ってくる。

 体が凍った。人は本当にどうしようもない状況に直面した時、何もできないんだな、なんてどうでも良いことを考えていた。

 それは紛れもなく隕石だった。隕石は轟々と音を立てながら、僕の上空を通り過ぎていく。

 そして次の瞬間、ハンマーで全身を殴られたような衝撃が走った。轟音と同時に爆風が巻き起こり、僕はその衝撃波に押され、近くの幹に背中を強かなに打ち付けた。幸いにも隕石は遠くに落ち、命に関わるようなことにはならなかった。

 そんな何の意味があるのかも分からない夢を、僕はよく見る。