そして、直人達の日光への旅は終わりを告げた。
 すずと別れて、直人は駅に停めてある自転車にまたがった。
 さっき、別れ際にすずからキーホルダーを受け取った。

「純に買ったものだけど、渡せなかったから。
 これは、直人が持ってて……」

 スカイツリーにあるショップですずと選んで買ったものだった。
 直人は自転車をこぎ出す前に、その箱に入ったキーホルダーを出してみた。
 JとSとN……
 仲良さげに三つブラブラぶら下がっている。
……このまんまだな。

 直人は暗くなった空を見上げ、そして静かに目を閉じた。
 そして、ゆっくり目を開けた直人は、勢いよく自転車をこぎ出した。

 JとSとN……
 三つの絆は何も変わらない……
 どこにいても近くに感じる。

 それでいいんじゃね?
 それでいいだろ?

 直人は日光とは違う生ぬるい夜風を切りながら、ただひたすら自転車をこいだ。
 明日から始まる日常を精一杯生きるために……