景色に緑が増えてきたなあ、なんて呑気に考えていたら、須藤君は突然控えめな声で、でもはっきりと言い切った。
「変じゃない」
「……え?」
「変じゃないよ」
「どうして、そんなことが言えるの?」
須藤君は外の景色を眺めたまま言った。捉えているのは別の景色のように思えた。
「僕の両親は、中学の時に離婚したんだ」
「え?」
「僕は父方に引き取られることが決まっていたから、突然お母さんが出ていった。でも僕はそれが受け入れられなくて、ひどくショックを受けた。
それで何度もお母さんを探していた時期があって、今でも後ろ姿が似ている人がいると、もしかしてと思って、見てしまうんだ。だから陽木さんの話を聞いて、勝手に共感した」
言い終えてから須藤君は「変なこと言ってごめん」と謝ると、黙り込んでしまった。
そのうちリュックから持ってきたカメラを取り出すと、電源を入れて撮った写真を眺め始めた。訊いてみると、文化祭に写真部として出展する展示会用のものらしい。
そのうちに楽しくなってきたのか、須藤君はずっと写真のことを話していた。スイッチが入るとこんなにも楽しげに話すなんて、意外な一面が見れたのかもしれない。
「変じゃない」
「……え?」
「変じゃないよ」
「どうして、そんなことが言えるの?」
須藤君は外の景色を眺めたまま言った。捉えているのは別の景色のように思えた。
「僕の両親は、中学の時に離婚したんだ」
「え?」
「僕は父方に引き取られることが決まっていたから、突然お母さんが出ていった。でも僕はそれが受け入れられなくて、ひどくショックを受けた。
それで何度もお母さんを探していた時期があって、今でも後ろ姿が似ている人がいると、もしかしてと思って、見てしまうんだ。だから陽木さんの話を聞いて、勝手に共感した」
言い終えてから須藤君は「変なこと言ってごめん」と謝ると、黙り込んでしまった。
そのうちリュックから持ってきたカメラを取り出すと、電源を入れて撮った写真を眺め始めた。訊いてみると、文化祭に写真部として出展する展示会用のものらしい。
そのうちに楽しくなってきたのか、須藤君はずっと写真のことを話していた。スイッチが入るとこんなにも楽しげに話すなんて、意外な一面が見れたのかもしれない。