「まさか、こんなに早く見つかるなんて」

「アカウントの名前が”mikoko.suzuki”って、ほとんど本名じゃん」


おまけに自己紹介文が「高校一年生です。」って、これ、完全に危険なやつだ。今すぐ本名はやめておけって忠告した方が良いんじゃないのか。

アカウントのアイコンは夕焼けを背景にした海。フォロワー220人に対して、フォローの数は1人だけ。

ミコらしきアカウントの投稿を見てみると、淡白な一言と、ハッシュタグも何も付けられていない空や植物の写真ばかりだった。

ほとんどのハートマークが1桁なのに対し、(ほうき)にまたがった魔女の形をした雲の写真だけ4000も付けられていた。この写真がバズったのがきっかけで、フォロワーが一気に増えたのだろう。


「これ、うちらの学校じゃん、しかもあの場所。ほら、桜の樹もある」

「間違いない。ミコだ」

「最近の投稿は、岸壁、ヤドカリ、海辺の景色。あの子引っ越したんじゃない?」


写真に映るのは私達の街には見慣れない光景ばかり。よく見てみると、アイコンもその海で撮影したものみたいだ。


「伊智、あんた早く連絡してあげた方が良いよ。ほら、もう変なアカウントが寄ってきてるし、あの子律儀に返信しちゃってるよ」

「う、うん……!」


私はすぐにアカウントをフォローし、DMを送る。

長々と書いてしまいそうになったけれど、いきなりそんな文章を送られてきてもただ引いちゃうだけだと思う。あえて初めは挨拶だけにしておかなくちゃ。

どうか返事だけでも返してほしいと、私は願いを込めて送信ボタンを押した。