チャイムが鳴り、気を取り直していつも通りの号令をかけ終える。

先生が教室を出て行ったのを見計らうと、私はすぐにミコの元へと怒鳴り込んだ。


「ミコ!あんた馬鹿なの?」

「え、何が?」

「何がって、あんた授業中に堂々と写真撮ろうとしてたでしょ。しかも私が叫んでも、構わずシャッターボタン押したよね!思いっきりカシャって言ってたんだけど!」

「映えるって思って。それよりイチ、体調大丈夫?」

「ミコのあほ!もう信じらんない!」


こんなにも訳のわからないことをするのは、元々住んでいる時代が違うからなのだろうか。いや、ただミコが抜けているだけなのかもしれない。

わざとらしく大きく溜息を吐いてから振り返る。

何を勘違いしたのか、ミコはさらに心配そうに私を引き留めた。


「保健室に行くの?だったら一緒に……」

「職員室。先生にこの前提出したノートを取りに来るように言われてるの。次、移動教室でしょ。ミコ、先に行ってて」

「わかった。気をつけてね」


職員室に寄るくらいなのに何が気をつけてだよ。ああ、むかつく。

教室を出ようとしたら、何人かの視線と一緒に笑い声が聞こえてきた。けれど不思議とそれに悪意が混ざっているわけではないって思えた。