中学生になった。あれ以来雄登と蓮登は家でもすれ違いをしているらしい。
でも、変化もあった。雄登が彼女と別れたんだ。
「蓮登たちを傷つけるくらいなら彼女なんていらない。でも、蓮登と仲直りできるまではお前らとはいれないから、しばらく許してくれ。」
 そう修学旅行で告げられた。納得は行かなかったけど、兄としてのけじめなのかもしれないと思って何も言わなかった。
 そういえば、颯照(はやて)が親の言いつけで私立の中学校に行った。学校が変わっても家が近いから何も変わらないと思ってた。でも、颯照は塾にも行くようになって中学生になってから会えたのは三回だけだった。
 学校で一緒にいるのは俺と蒼詩(そうし)だけになった。
 蒼詩は気が弱く、小学生の頃からよくいじめられていたこともあってよく俺に「ごめんね…」と呟いていた。中学になってもそれは変わらなかった。それどころか、イジメがエスカレートしていき蒼詩は学校に来なくなった。
 俺は一人になった。
 でも、いじめが解決したら蒼詩も戻ってくるだろうし、雄登と蓮登も仲直りしたら肩組んで「わりい、わりい」って笑ってくると思って俺は蒼詩をいじめてた主犯を探し出したり、また全員揃ったときに気まずくならないようにしていた。でも、現実がそんなにうまくいくわけなかった。俺は毎日のように蒼詩のクラスに行って誰がいじめてたか聞き取りに行った。その行動が相手の気を損ねたのだろう。
 いじめの標的が俺に変わった。
 最初は、ただ今まで話さなかった奴らが俺と話すようになって休み時間に軽く叩かれるくらいだった。でも、段々と貸したものが返って来なくなったり、ものが隠されるようになった。次第に俺は周りから無視されるようになった。