「ここが、ワルド王国か」
俺たちは数日馬車で揺れて、隣国であるワルド王国へと向かった。そこからさらに馬車を乗り継いで、無事に王都であるワルドに到着したのだった。
初めて訪れたワルドの街並みはミノラルとそこまで変わらなかった。違いがあるとすれば、武器屋の大きさがミノラルよりも少し大きいくらいだろうか?
冒険者としては大きな武器屋という物に少しそそられるが、それ以上に俺は目の前の活気に目を奪われていた。
「やけに騒がしいな……あっ、祭りの最中だったけ?」
ハンスの話によると、ちょうど俺たちがこの街に到着する日は、お祭りの初日になるだろうとのことだった。
辺りを見渡してみると、メインの通りにある屋台の種類がお祭りのときによく見る屋台だった。
確か、ワルド王国が建設されて何年とかそんなお祭りだったような気がする。
もしかして、騒ぎを起こすなら、それ以上の騒ぎが起こっているときの方が良いとか思って、今日に到着するようにしてくれたのかもしれない。
……そうなると、騒ぎが起きる前提になってしまうな。
「アイク様、リリ様。それでは我々は手はず通りに」
「分かりました。それでは、またお願いします」
俺たちをワルドに運んできてくれた馬車の御者は、俺たちに静かな声でそんなことを言うと、この場を後にした。
俺たちがこれからするのは誘拐だ。
誘拐された人を連れ戻しに来たのだが、この国からしたら無法者でしかない。
そうなると、堂々と馬車を使ってこの国から脱出することは難しいだろう。
そう思って、送ってもらった馬車は王都であるワルドから少し離れた街で待機してもらうことにした。
帰りは安全な街までポチにお願いすることになるだろうな。
馬車がいつも俺たちが乗っているものよりも綺麗だし、御者の口調と服装がやけに綺麗だしということはもう考えないようにするようにした。
考えてはならないような気がしたので、気づかない素振りをすることにしたのだった。
「とりあえず、ハンスさんが言っていた場所を見に行くか。ん?」
俺はハンスに教えてもらった盗賊団のアジトを確認しに行こうと、祭りが行われている大通りから離れようとしたところで、とある物を見つけた。
「アイクさん?」
自然と興味を惹かれてその屋台を覗き込むと、中々趣味が良いものが売られていたので、俺は並べられたそれらをしばらく観察していた。
「おっ、なんだ兄ちゃん。買ってくかい?」
「そうですね。せっかくなんで、これとこれください」
「まいど、兄ちゃん!」
俺がそれを二つ買うと、屋台のお兄さんは笑顔と共に買ったそれを手渡してくれた。俺は少しの笑顔を返しながら受け取って、そのうちの一つをリリに手渡した。
「これは……」
「せっかくのお祭りだしな。後でつけようぜ」
俺は少し笑みを浮かべながらそんなことを言うと、リリの前を歩き出した。
「ハンスさんには聞いていたけど、まさかここまでとはな」
俺たちは事前にハンスさんに教えてもらえたアジトの場所を確認しようと、アジトの目の前までやってきていた。
本来、盗賊団のアジトであるのならば目の前まで来れるはずがない。そんな目立つ行動は、絶対に控えるべきだろう。
「本当に、ここで合ってるんですよね?」
「らしいけどな」
しかし、俺たちがその建物を見ていても何も違和感がなかった。
だって、そこにあったのはただの教会だったのだから。
「これ、大きさ的に見ても国が絡んでるタイプの教会だよな」
王都の栄えている通りから少し外れたとこにあった教会は、そこにあるだけで強い存在感を放つほどの大きさをしていた。
「国が絡んでる教会を拠点にしているか……かなりきな臭いな」
俺たちは怪しまれない程度に教会を見て回ったと、夜が更けるまでの時間を潰すことにした。
そして、その日の夜、俺たちは作戦を決行することになった。
俺たちは数日馬車で揺れて、隣国であるワルド王国へと向かった。そこからさらに馬車を乗り継いで、無事に王都であるワルドに到着したのだった。
初めて訪れたワルドの街並みはミノラルとそこまで変わらなかった。違いがあるとすれば、武器屋の大きさがミノラルよりも少し大きいくらいだろうか?
冒険者としては大きな武器屋という物に少しそそられるが、それ以上に俺は目の前の活気に目を奪われていた。
「やけに騒がしいな……あっ、祭りの最中だったけ?」
ハンスの話によると、ちょうど俺たちがこの街に到着する日は、お祭りの初日になるだろうとのことだった。
辺りを見渡してみると、メインの通りにある屋台の種類がお祭りのときによく見る屋台だった。
確か、ワルド王国が建設されて何年とかそんなお祭りだったような気がする。
もしかして、騒ぎを起こすなら、それ以上の騒ぎが起こっているときの方が良いとか思って、今日に到着するようにしてくれたのかもしれない。
……そうなると、騒ぎが起きる前提になってしまうな。
「アイク様、リリ様。それでは我々は手はず通りに」
「分かりました。それでは、またお願いします」
俺たちをワルドに運んできてくれた馬車の御者は、俺たちに静かな声でそんなことを言うと、この場を後にした。
俺たちがこれからするのは誘拐だ。
誘拐された人を連れ戻しに来たのだが、この国からしたら無法者でしかない。
そうなると、堂々と馬車を使ってこの国から脱出することは難しいだろう。
そう思って、送ってもらった馬車は王都であるワルドから少し離れた街で待機してもらうことにした。
帰りは安全な街までポチにお願いすることになるだろうな。
馬車がいつも俺たちが乗っているものよりも綺麗だし、御者の口調と服装がやけに綺麗だしということはもう考えないようにするようにした。
考えてはならないような気がしたので、気づかない素振りをすることにしたのだった。
「とりあえず、ハンスさんが言っていた場所を見に行くか。ん?」
俺はハンスに教えてもらった盗賊団のアジトを確認しに行こうと、祭りが行われている大通りから離れようとしたところで、とある物を見つけた。
「アイクさん?」
自然と興味を惹かれてその屋台を覗き込むと、中々趣味が良いものが売られていたので、俺は並べられたそれらをしばらく観察していた。
「おっ、なんだ兄ちゃん。買ってくかい?」
「そうですね。せっかくなんで、これとこれください」
「まいど、兄ちゃん!」
俺がそれを二つ買うと、屋台のお兄さんは笑顔と共に買ったそれを手渡してくれた。俺は少しの笑顔を返しながら受け取って、そのうちの一つをリリに手渡した。
「これは……」
「せっかくのお祭りだしな。後でつけようぜ」
俺は少し笑みを浮かべながらそんなことを言うと、リリの前を歩き出した。
「ハンスさんには聞いていたけど、まさかここまでとはな」
俺たちは事前にハンスさんに教えてもらえたアジトの場所を確認しようと、アジトの目の前までやってきていた。
本来、盗賊団のアジトであるのならば目の前まで来れるはずがない。そんな目立つ行動は、絶対に控えるべきだろう。
「本当に、ここで合ってるんですよね?」
「らしいけどな」
しかし、俺たちがその建物を見ていても何も違和感がなかった。
だって、そこにあったのはただの教会だったのだから。
「これ、大きさ的に見ても国が絡んでるタイプの教会だよな」
王都の栄えている通りから少し外れたとこにあった教会は、そこにあるだけで強い存在感を放つほどの大きさをしていた。
「国が絡んでる教会を拠点にしているか……かなりきな臭いな」
俺たちは怪しまれない程度に教会を見て回ったと、夜が更けるまでの時間を潰すことにした。
そして、その日の夜、俺たちは作戦を決行することになった。