『この速度で走っていけば後十五分ほどで敵に出会しますね』
「おっ意外に早かったな」
『ふふっ時速何キロで走っていると思ってるんですか』
「ん? 六十キロくらいか?」
『その倍ですね』
「マジか!」
我路から聞いて、マジでびっくりした。倍ってことは百二十キロって事だろ? そんな速度で走ってるつもりは、全くなかったら。俺もなかなか成長したもんだなと。
毎日の我路の厳しい鍛錬に耐えて頑張った成果が出てる。
それは嬉しい事なんだが。
あと少しであの胸糞悪い爺さん達にまた会うことになる訳で……。
はぁ。こんなにも嬉しくない再会があって良いものか。
『らんどーちゃま! ワレは今回もやってやるでちよ? ワレのマッスルパンチが火をふくでち』
我路に抱えられた琥珀がファイティンングポーズをとりパンチをくり出す。
『しゅっ! しゅしゅっ』
「それは……キタイシテルゼ」
『任せるでち! ドゴッ! グガアアッ! っとかましてやるでち』
効果音はポニポニだと思うがな?
『見えてきましたね。この辺で待ちますか』
「おっあれか!」
我路が指差した先で土煙が上がっている。すごい勢いで走って来ているからだろう。
俺たちの姿が目視できる所まで走ってきたら、勢いがピタッと止まる。
待ち伏せされた事に驚き対応を考えてるんだろうか?
どんな対策を考えた所で無駄だと思うがな。
「あれは……サイ?」
『確かに見た目はサイのようですね。ですが召喚獣のようです」
「サイの上に乗っているのはルミ野郎じゃ……」
『そのようですね』
通常のサイの三倍近くはあるな。そんな大きな召喚獣の上にルミ野郎は誇らしげに立ち、こちらにゆっくりと向かって来ている。
その周りをツノの生えた馬の魔獣に乗った爺さん達が、ゾロゾロと後から来る。
やはり……あの距離感がバグってる爺さん達だな。
あの召喚獣はルミ野郎の? いやっそんな訳ないよな。
あいつの召喚獣は琥珀が全部奪ったんだからな。
じゃあ……あのサイは別のやつの召喚獣か。
『あれ!? 何でアイツがまた召喚獣を!? おかしいでち』
琥珀がルミ野郎を不思議そうに見ている。
———まさか? あの召喚獣はルミ野郎の?
「はははっ。まさか私たちをお前が迎えに来るなんてね。そんなに待ちきれないほどに会いたかったのかい?」
「……ソウデスネ」
ルミ野郎が高笑いをしながら俺を見下げてくる。くそう高い所から偉そうに。
「よく分かったな? 私たちが来ていることを」
「……本当にタマタマにしてはタイミングが良すぎる……」
爺さん達も何で俺たちがここで待ち構えていたのか不思議そうだ。偶然にしては良過ぎるタイミングだからな。流石にそこまで馬鹿じゃないか。
「お前達が来てるのが分かったから、俺から会いに来てやったんだよ。何の用だ」
すると爺さんが前に出て「それはもちろん、乱道様を迎えに来たんですよ。王都に戻ってもらうためにね」と言い放った。
はぁ……何を誇らしげに言ってるんだこの爺さんは。俺は嫌だとキッパリ断っただろうよ?
何でそれを再びオッケーして貰えると思えるのか、こいつらの心理が全く理解出来ない。
「あのさ? だから嫌だと言っただろ?」
「ふふ……ですが今回は断れないと思いますよ?」
爺さんはそう言って不敵に笑うと、サイの召喚獣を見た。
よほどサイの召喚獣に自信があるようだ。
だがな? その召喚獣がどれほど強えのかは分かんねーが、我路には勝てないと思うぜ? 琥珀で再び奪っても良いしな。
などど考えていた次の瞬間。
「あがっ!? なっ何だこれっ……」
体の自由が効かない……!?
何だこの声は!?
サイから超音波のような音が……この音は嫌だ。
「乱道よ。私たちと一緒に王都に帰りましょう」
「……はい」
———はっ!? 何で口が勝手に。
体が勝手に爺さん達の所に歩いて行こうとするのを、我路が引き止めてくれた。
『乱道様。これは魅了ですね』
———え?
「おっ意外に早かったな」
『ふふっ時速何キロで走っていると思ってるんですか』
「ん? 六十キロくらいか?」
『その倍ですね』
「マジか!」
我路から聞いて、マジでびっくりした。倍ってことは百二十キロって事だろ? そんな速度で走ってるつもりは、全くなかったら。俺もなかなか成長したもんだなと。
毎日の我路の厳しい鍛錬に耐えて頑張った成果が出てる。
それは嬉しい事なんだが。
あと少しであの胸糞悪い爺さん達にまた会うことになる訳で……。
はぁ。こんなにも嬉しくない再会があって良いものか。
『らんどーちゃま! ワレは今回もやってやるでちよ? ワレのマッスルパンチが火をふくでち』
我路に抱えられた琥珀がファイティンングポーズをとりパンチをくり出す。
『しゅっ! しゅしゅっ』
「それは……キタイシテルゼ」
『任せるでち! ドゴッ! グガアアッ! っとかましてやるでち』
効果音はポニポニだと思うがな?
『見えてきましたね。この辺で待ちますか』
「おっあれか!」
我路が指差した先で土煙が上がっている。すごい勢いで走って来ているからだろう。
俺たちの姿が目視できる所まで走ってきたら、勢いがピタッと止まる。
待ち伏せされた事に驚き対応を考えてるんだろうか?
どんな対策を考えた所で無駄だと思うがな。
「あれは……サイ?」
『確かに見た目はサイのようですね。ですが召喚獣のようです」
「サイの上に乗っているのはルミ野郎じゃ……」
『そのようですね』
通常のサイの三倍近くはあるな。そんな大きな召喚獣の上にルミ野郎は誇らしげに立ち、こちらにゆっくりと向かって来ている。
その周りをツノの生えた馬の魔獣に乗った爺さん達が、ゾロゾロと後から来る。
やはり……あの距離感がバグってる爺さん達だな。
あの召喚獣はルミ野郎の? いやっそんな訳ないよな。
あいつの召喚獣は琥珀が全部奪ったんだからな。
じゃあ……あのサイは別のやつの召喚獣か。
『あれ!? 何でアイツがまた召喚獣を!? おかしいでち』
琥珀がルミ野郎を不思議そうに見ている。
———まさか? あの召喚獣はルミ野郎の?
「はははっ。まさか私たちをお前が迎えに来るなんてね。そんなに待ちきれないほどに会いたかったのかい?」
「……ソウデスネ」
ルミ野郎が高笑いをしながら俺を見下げてくる。くそう高い所から偉そうに。
「よく分かったな? 私たちが来ていることを」
「……本当にタマタマにしてはタイミングが良すぎる……」
爺さん達も何で俺たちがここで待ち構えていたのか不思議そうだ。偶然にしては良過ぎるタイミングだからな。流石にそこまで馬鹿じゃないか。
「お前達が来てるのが分かったから、俺から会いに来てやったんだよ。何の用だ」
すると爺さんが前に出て「それはもちろん、乱道様を迎えに来たんですよ。王都に戻ってもらうためにね」と言い放った。
はぁ……何を誇らしげに言ってるんだこの爺さんは。俺は嫌だとキッパリ断っただろうよ?
何でそれを再びオッケーして貰えると思えるのか、こいつらの心理が全く理解出来ない。
「あのさ? だから嫌だと言っただろ?」
「ふふ……ですが今回は断れないと思いますよ?」
爺さんはそう言って不敵に笑うと、サイの召喚獣を見た。
よほどサイの召喚獣に自信があるようだ。
だがな? その召喚獣がどれほど強えのかは分かんねーが、我路には勝てないと思うぜ? 琥珀で再び奪っても良いしな。
などど考えていた次の瞬間。
「あがっ!? なっ何だこれっ……」
体の自由が効かない……!?
何だこの声は!?
サイから超音波のような音が……この音は嫌だ。
「乱道よ。私たちと一緒に王都に帰りましょう」
「……はい」
———はっ!? 何で口が勝手に。
体が勝手に爺さん達の所に歩いて行こうとするのを、我路が引き止めてくれた。
『乱道様。これは魅了ですね』
———え?