「あ゛あ゛~ぎもぢ悪りぃ~」
『乱道様大丈夫ですか?』
俺は右手を軽く上げ、そっとしてくれと合図を送る。
我路は小さく頭を上下揺らすと、俺のそばを離れていった。
平坦な道は大丈夫だったのだが、山越えがヤバかった。
馬車に乗り慣れていない俺にはマジで地獄。
ガタガタ揺れるわ、くねくねと道が曲がっているわで……馬車酔いしてしまった。
山を越えた所で、馬車から降ろしてもらい……少しの間休憩させて貰うことにした。
俺のせいで予定時間を遅らせて申し訳ない。
はぁ~……まさか異世界に来て馬車酔いするとはな。
ゴロンと寝そべり呼吸を整えていると。
「乱道様……これを飲むと気分が優れるかと」
「キャロ?」
どうやら薬草茶を煎じ、持って来てくれたようだ。
「ありがとな」
俺はそれを一気に飲み干した。
ハーブのようなさっぱりとした飲み口で、気持ち悪さが軽減していくのが分かる。
「あのう……出発を一時間後にしましたので、それまで寝ときますか?」
「そうか? 助かるよ」
「あっあのう……ボクが膝っ……あっ?」
「キャロ? そんな所でつっ立って何してるんだ?」
馬車まで歩いて行くと、まだキャロが動かずボーッと立っていた。
「いっいえ! なんでもないです」
★★★
『もうすぐ着くでちかねぇ?』
「あいっ!」
琥珀と稲荷が馬車の窓から顔を出し、尻尾ふりふり楽しそうに外を見ている。
「ふふふっ後30分ほどで着きますよ~」
そんな二匹にキャロが優しく微笑み教えてくれる。
キャロが煎じてくれた薬草茶が効いたのか、俺の馬車酔いは全くなくなった。
今後の為に、薬草茶の作り方をキャロから聞いとこう。
「あっ! あれです! あの大きな石造りの門が入り口です」
キャロが教えてくれ、窓から見るとレンガ調の大きなアーチ型の門が見えてきた。
その奥には、カラフルな屋根の街並みがわずかだが見える。
あれが国境の街リモットか……。
「ええと乱道様、受付をして来ますので身分証を少しの間お借りしてもよろしいですか?」
街並みを見ていたら、キャロが耳をぴょこぴょこと揺らせ話しかけてきた。
キャロがまとめて受付をすませてくれるとの事……困ったぞ。
俺は身分証がない男。
キャロにどう説明する? 「異世界召喚されました」なんて言ったら話が長くなるし……。
あっそれにだ! 琥珀や我路に至っては召喚獣だしな。さらにややこしいぞ。
俺が俯きどう説明したら良いのか困っていると……。
「もしかして乱道様! 身分証をなくされました?」
とキャロが聞いてきた。
ナイス誤解!
これはもちろんその提案に乗っかるしか無いだろう。
俺はそうだと無言で頭を上下に振る。
「なんだ……そんな事気にしてたんですね。ボクに任せてください」
キャロはドンっと胸を叩くと、受付に向かって走っていった。
……大丈夫なのか?
キャロを馬車で待っていると、数分もすると両手で大きなマルを作りながら走ってきた。
この反応は大丈夫だったみたいだな?
「お待たせしました。大丈夫でしたよー!」
「そうか! ありがとうな。俺たちの入場料金はいくらだ?」
「それは必要ありません」
「そんな訳にはいかないだろう?」
「ジャジャ~ン! これを見て下さい!」
キャロは金色のカードを俺に見せてくれた。
「これはヴィルヘルミナの王族の証なんです」
「へっ? お……王族?」
今王族って言ったか?
俺はなんとも間抜けな顔で、質問しているのが自分でも分かる。
「はい……黙っていてすみません。ボクはヴィルヘルミナ帝国の第八皇女なんです」
「お前っ! いやっキャロさんは……王女?」
「キャロさんなんて、キャロでいいです。皇女と言っても第八皇女ですからね。いつもは王族って事は隠してるんですが、今回は権力を使わせていただきました」
キャロはそう言うと満面の笑みを浮かべた。
王族って……マジかよ。
『乱道様大丈夫ですか?』
俺は右手を軽く上げ、そっとしてくれと合図を送る。
我路は小さく頭を上下揺らすと、俺のそばを離れていった。
平坦な道は大丈夫だったのだが、山越えがヤバかった。
馬車に乗り慣れていない俺にはマジで地獄。
ガタガタ揺れるわ、くねくねと道が曲がっているわで……馬車酔いしてしまった。
山を越えた所で、馬車から降ろしてもらい……少しの間休憩させて貰うことにした。
俺のせいで予定時間を遅らせて申し訳ない。
はぁ~……まさか異世界に来て馬車酔いするとはな。
ゴロンと寝そべり呼吸を整えていると。
「乱道様……これを飲むと気分が優れるかと」
「キャロ?」
どうやら薬草茶を煎じ、持って来てくれたようだ。
「ありがとな」
俺はそれを一気に飲み干した。
ハーブのようなさっぱりとした飲み口で、気持ち悪さが軽減していくのが分かる。
「あのう……出発を一時間後にしましたので、それまで寝ときますか?」
「そうか? 助かるよ」
「あっあのう……ボクが膝っ……あっ?」
「キャロ? そんな所でつっ立って何してるんだ?」
馬車まで歩いて行くと、まだキャロが動かずボーッと立っていた。
「いっいえ! なんでもないです」
★★★
『もうすぐ着くでちかねぇ?』
「あいっ!」
琥珀と稲荷が馬車の窓から顔を出し、尻尾ふりふり楽しそうに外を見ている。
「ふふふっ後30分ほどで着きますよ~」
そんな二匹にキャロが優しく微笑み教えてくれる。
キャロが煎じてくれた薬草茶が効いたのか、俺の馬車酔いは全くなくなった。
今後の為に、薬草茶の作り方をキャロから聞いとこう。
「あっ! あれです! あの大きな石造りの門が入り口です」
キャロが教えてくれ、窓から見るとレンガ調の大きなアーチ型の門が見えてきた。
その奥には、カラフルな屋根の街並みがわずかだが見える。
あれが国境の街リモットか……。
「ええと乱道様、受付をして来ますので身分証を少しの間お借りしてもよろしいですか?」
街並みを見ていたら、キャロが耳をぴょこぴょこと揺らせ話しかけてきた。
キャロがまとめて受付をすませてくれるとの事……困ったぞ。
俺は身分証がない男。
キャロにどう説明する? 「異世界召喚されました」なんて言ったら話が長くなるし……。
あっそれにだ! 琥珀や我路に至っては召喚獣だしな。さらにややこしいぞ。
俺が俯きどう説明したら良いのか困っていると……。
「もしかして乱道様! 身分証をなくされました?」
とキャロが聞いてきた。
ナイス誤解!
これはもちろんその提案に乗っかるしか無いだろう。
俺はそうだと無言で頭を上下に振る。
「なんだ……そんな事気にしてたんですね。ボクに任せてください」
キャロはドンっと胸を叩くと、受付に向かって走っていった。
……大丈夫なのか?
キャロを馬車で待っていると、数分もすると両手で大きなマルを作りながら走ってきた。
この反応は大丈夫だったみたいだな?
「お待たせしました。大丈夫でしたよー!」
「そうか! ありがとうな。俺たちの入場料金はいくらだ?」
「それは必要ありません」
「そんな訳にはいかないだろう?」
「ジャジャ~ン! これを見て下さい!」
キャロは金色のカードを俺に見せてくれた。
「これはヴィルヘルミナの王族の証なんです」
「へっ? お……王族?」
今王族って言ったか?
俺はなんとも間抜けな顔で、質問しているのが自分でも分かる。
「はい……黙っていてすみません。ボクはヴィルヘルミナ帝国の第八皇女なんです」
「お前っ! いやっキャロさんは……王女?」
「キャロさんなんて、キャロでいいです。皇女と言っても第八皇女ですからね。いつもは王族って事は隠してるんですが、今回は権力を使わせていただきました」
キャロはそう言うと満面の笑みを浮かべた。
王族って……マジかよ。