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「え、流石に飛ばし過ぎじゃない?大丈夫?」
先生…いや、翔也さんが助手席で不安そうに声を上げている。
「ふふっ、大丈夫ですよ」
私はそんな翔也さんを横目で見ながら返事をした。
あのカフェでの衝撃的な再会から三ヶ月。こうやって交際に至るまでに、あれから一ヶ月もかからなかった。歳の差十歳差カップルの誕生だ。
そして今日は、ドライブで海へ向かっている。私の車で。
これまでで自分的に嬉しかったのは、先生じゃなくて翔也さんって呼んでほしいと言われた時だ。
付き合いはじめてから今日まで、色々なところに二人で出かけた。どれも本当に楽しい思い出だけど、私には気になっていることが一つだけある。
それは、翔也さんの様子だ。付き合いはじめて一ヶ月くらい経った時から、暗い顔をしたり辛そうな顔をしているのを何度も見たことがある。
何か事情があるのか。私が原因なのか。どちらにしろ、相談してほしいと思う。心配事があるなら相談し乗りたいし、私に至らない部分があるなら絶対に直す。
でも、やっぱり聞くのは気が引けてまだ聞けていない。
「翔也さん、冷房寒くないですか?」
六月の終わり。だいぶ暑くなってきたので、冷房をつけたいなのだが寒がりの翔也さんには寒いかもしれない。
「…?翔也さん?」
返事がない。私は反射的に隣を見る。
いつもの様子を思い出しながら、もしかしたら…なんて危機感に見舞われながら翔也さんの顔に目を向ける。
翔也さんは、すやすやと眠っていた。
「ああ、びっくりした」
私は安心したと同時に、冷房をOFFにした。
「翔也さん、着きましたよ。起きてください」
砂浜の見える駐車場に車を停めて、私は翔也さんを起こしている。
途中で開けた窓から潮風が流れてくる。
「おーい」
声をかけても起きる気配がないので、運転席から少し腰を浮かして体を揺らしてみた。
「!?」
-細い。え、成人男性ってこんなに痩せてるものなの?最後に男の人のお腹に触れた時を思い出す。翔也さんの倍くらいは太っていたはずだ。いや、それでも平均くらいだったから…。
…どういうこと?とにかく、普通じゃない。痩せすぎてる。
でもとにかく起こさないと。
「翔也さーん!起きてください。着きましたよ?」
「うーん…」
「…翔也さん」
私はあまりにも飽きない翔也さんを見て、よくわからない不安が膨れ上がる。
「うーん…あ、ごめん。寝てた」
少し観察していると、自分から起きた。
「いや、全然大丈夫ですけど…その、」
さっきのことが頭を掠める。でも、体型のことを聞くなんて失礼だし、触ったってばれても恥ずかしいし…。
気になる気持ちを胸にしまって、私は車を出る準備を始めた。