「ホットコーヒーになります」
 「あ、ありがとうございます」
 それから一週間後の週末、私はカフェに来ていた。一人ではない。とある人と待ち合わせをしているのだ。

 「チリンチリン♪」
 ドアベルがなるたびにソワソワして落ち着かない。まだ十分前だから来ないはずなんだけどね…。
 なんて思っていた時、
 「チリンチリン♪」
 ドアベルが鳴って、懐かしい人が入ってきた。
 まだ十分前なのに。でも、昔もきっちりした人だったよね。

 その人はキョロキョロしている。きっと私を探しているのだ。
 少し恥ずかしかったが、私は思い切ってここです!と主張するように手を挙げた。
 すると一瞬目を見開いてすぐにこちらへ向かってきた。

 「あの、ショートケーキさんですか?」

 「はい。ショートケーキです。今日はお願いします」