「ここ行きたかったんだよね!」
楽しそうに言うみずきにノリよく返しながら値段を確認する。ほとんどが1000円近くするメニュー表を見て、ここ来なければBL何冊買えるかな、欲しい服あったのになぁ、またバイト増やさなきゃ、予定空いてたっけなんて考える。
「ひなた?どうしたの?」
「なんでもないよ。ほら、入ろ!」
考え事をしすぎたかもしれない。目の前のことに意識を戻して財布の心配をしつつ中に入った。
ああ、さよなら。まだ見ぬBL本達、欲しかった服達よ。今月は手に入りそうにない。
夕方の駅、改札前
みずきが見えなくなったのを確認した私は本日の営業は終了と今まで作っていた笑顔を崩した。頬の筋肉が強ばっているのを感じて軽く揉む。
「疲れた」
一瞬で真顔に戻って呟いたそれは喧騒の中に溶けていった。
電車で揺られつつ開いたTwitterはもちろん色んなゲームのオタ垢兼雑多垢。何となくスクロールしていくと今1番ハマっているゲームの二次創作のリンク。それも推しカプときた。一瞬開くか迷ったがさすがに電車内。いいねとRTだけはして家で見ることにした。
家に帰ってきた安心感か達成感か、ドッと疲れた私はベッドに倒れ込む。本当の趣味を隠して誰かと話すのは本当に疲れる。会話にだってとことん気を使う。流行りを把握するなんて当たり前。嘘でもないけど本当とも言えない好きな事、興味はないけどやりたいこと。半分以上が嘘とお世辞、空気を読んでの言葉ではあるけれど、平和にそれなりに過ごせていると思う。
その代償にずっと気を張っているせいで精神的にかなり疲れるのだけれど。
電車内で見れなかった作品があったのを思い出してTwitterのホームを開く。RTしておいたそれのリンクを開いて見ていく。
あまり好きな作品ではなかったけれど最近ハマったばかりのカップリングだ。AIに教え込ませる意味も込めていいねを押しておく。もう一度Twitterを開くと更新された投稿はほとんどがくだらないつぶやき。それでも時々最高に尊い作品が流れてくる。割合としては浪費している時間の方が多いはずなのに、新たな1作品を求めてTwitterを眺めることを辞めることが出来ない。
そんなこんなでダラダラと眺めていると、インスタからDMを表す青色の通知。
手癖のままに通知からインスタを開くと、DMの画面が表示される。
『新作のアイシャドウ見た?ケイトのやつ』
それは自撮り垢で繋がったヒスイだった。ヒスイは男装の自撮りをよくあげているアカウントで、私が投稿にコメントしたのをきっかけにコスメや自撮りの話で意気投合した。色々なアプリにそれぞれのネッ友がいるけれど、メイクの話をできるのはこの垢で繋がった人くらいで、ヒスイはその中でも毎日といっていいくらいにはDMで話していた。
『見たー!すごい可愛いよね』
返信した私はまたTwitterに戻ると、通知が来ていたから確認すると適当なツイートへのコメントだった。と、またインスタからの通知。DMを告げる青を開くとヒスイからの返信だった。
『だよね〜!欲しいけど今金欠だから買えないんだよね』
『めっちゃわかる』
すぐに付いた既読の後入力中になる。待ってる間にストーリーを覗くとほとんどが自撮りか質問箱のストーリーが現れる。本垢ではこんなことはないのだが、自撮り垢はやっぱり同じようなアカウントが集まってくる。適当に2、3個眺めていると通知が鳴る。ヒスイからの返信を見るためにストーリーを閉じDMを開いた。
楽しそうに言うみずきにノリよく返しながら値段を確認する。ほとんどが1000円近くするメニュー表を見て、ここ来なければBL何冊買えるかな、欲しい服あったのになぁ、またバイト増やさなきゃ、予定空いてたっけなんて考える。
「ひなた?どうしたの?」
「なんでもないよ。ほら、入ろ!」
考え事をしすぎたかもしれない。目の前のことに意識を戻して財布の心配をしつつ中に入った。
ああ、さよなら。まだ見ぬBL本達、欲しかった服達よ。今月は手に入りそうにない。
夕方の駅、改札前
みずきが見えなくなったのを確認した私は本日の営業は終了と今まで作っていた笑顔を崩した。頬の筋肉が強ばっているのを感じて軽く揉む。
「疲れた」
一瞬で真顔に戻って呟いたそれは喧騒の中に溶けていった。
電車で揺られつつ開いたTwitterはもちろん色んなゲームのオタ垢兼雑多垢。何となくスクロールしていくと今1番ハマっているゲームの二次創作のリンク。それも推しカプときた。一瞬開くか迷ったがさすがに電車内。いいねとRTだけはして家で見ることにした。
家に帰ってきた安心感か達成感か、ドッと疲れた私はベッドに倒れ込む。本当の趣味を隠して誰かと話すのは本当に疲れる。会話にだってとことん気を使う。流行りを把握するなんて当たり前。嘘でもないけど本当とも言えない好きな事、興味はないけどやりたいこと。半分以上が嘘とお世辞、空気を読んでの言葉ではあるけれど、平和にそれなりに過ごせていると思う。
その代償にずっと気を張っているせいで精神的にかなり疲れるのだけれど。
電車内で見れなかった作品があったのを思い出してTwitterのホームを開く。RTしておいたそれのリンクを開いて見ていく。
あまり好きな作品ではなかったけれど最近ハマったばかりのカップリングだ。AIに教え込ませる意味も込めていいねを押しておく。もう一度Twitterを開くと更新された投稿はほとんどがくだらないつぶやき。それでも時々最高に尊い作品が流れてくる。割合としては浪費している時間の方が多いはずなのに、新たな1作品を求めてTwitterを眺めることを辞めることが出来ない。
そんなこんなでダラダラと眺めていると、インスタからDMを表す青色の通知。
手癖のままに通知からインスタを開くと、DMの画面が表示される。
『新作のアイシャドウ見た?ケイトのやつ』
それは自撮り垢で繋がったヒスイだった。ヒスイは男装の自撮りをよくあげているアカウントで、私が投稿にコメントしたのをきっかけにコスメや自撮りの話で意気投合した。色々なアプリにそれぞれのネッ友がいるけれど、メイクの話をできるのはこの垢で繋がった人くらいで、ヒスイはその中でも毎日といっていいくらいにはDMで話していた。
『見たー!すごい可愛いよね』
返信した私はまたTwitterに戻ると、通知が来ていたから確認すると適当なツイートへのコメントだった。と、またインスタからの通知。DMを告げる青を開くとヒスイからの返信だった。
『だよね〜!欲しいけど今金欠だから買えないんだよね』
『めっちゃわかる』
すぐに付いた既読の後入力中になる。待ってる間にストーリーを覗くとほとんどが自撮りか質問箱のストーリーが現れる。本垢ではこんなことはないのだが、自撮り垢はやっぱり同じようなアカウントが集まってくる。適当に2、3個眺めていると通知が鳴る。ヒスイからの返信を見るためにストーリーを閉じDMを開いた。