「お前のストーカー(仮)もストーカーされてるっぽいじゃん」

「さすがに知らねえよ!?」

 げんなりした様子で冬也は頬をひくつかせた。
 過去、冬也が遊んだ女の子がこの「あまなつ」だというのだから世間って狭い。

「で、どうすんの?」

「どうにもならなくね? だってポストに隠し撮りとか入れられたくらいで、男だし俺」

「だからって……」

 配信者側が情報開示請求をするような話はよく聞くけど逆はあまり聞いたことがない。

 というかこんな大手の配信者にストーカーされるってことがそもそも無いだろう。

 とはいえ冬也も俺と同じでごくごく普通の大学生なので日常生活に支障が出るのは困るだろう。

 ……大学生じゃなくても困るだろうが、なんせ俺らは金がないので探偵とかそういうのも最終手段になってくる。

「あっ、その子の連絡先は?まだ持ってるだろ?」

「ブロックはしたけど……あるかな」

 ブロックリストを探す。結構な数の女の子が並ぶ中、「あまなつ」という名前のアカウントを見つけた。

 ブロックを解除して、トーク履歴があんまりやばいようならそれはちゃんとした迷惑行為の証明になるはずだ。

 男相手にどこまで警察と司法が信用できるのかはよくわからんが、まあ相手に注意くらいは行くだろうしその後のことはそのときだ。

「解除……と、まぁすぐに来たりはしないだろうけ……」

 ぴこん。

 ぴこん。
 ぴこん。
 ぴこん。
 ぴこん。
 ぴこん。

 ぴこん。

 ぴこん。
 ぴこん。
 ぴこん。

 ぴこん。
 ぴこん。
 ぴこん。
 ぴこん。
 ぴこん。
 ぴこん。
 ぴこん。

「……うわ、きっつ」

 冬也のメッセージアプリの「あまなつ」のトーク画面は絶えず更新を続けている。

 画面には「会いたい」「好き」という呪詛がずらずらと表示されていた。